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ハリル解任の可能性と言うけれど。
暫定は手倉森体制が濃厚、その次は?
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byTakuya Sugiyama
posted2017/08/29 11:30
監督の求心力を最も直接に左右するのは、試合の結果である。ハリルホジッチ監督はオーストラリア戦に向けて何を用意しているのだろうか。
手倉森体制でW杯を決めたとして、本大会は?
オーストラリア戦の敗退でハリルホジッチ監督が解任され、彼が連れてきたスタッフもまたチームを離れることになっても、大きな混乱は生じない。手倉森コーチと早川直樹コンディショニングコーチは、リオ五輪への道のりでもともに仕事をしている。意思の疎通はスムーズだ。
しかしここでひとつ、疑問が湧き上がる。
手倉森コーチが監督へ昇格し、ロシアW杯の出場権を獲得したとする。そこから先も、彼にチームを託すのだろうか?
アギーレ元監督の招聘に際して、大仁邦彌サッカー協会会長(当時)は「アジア、世界で勝つために、アギーレ監督はその指揮官として経験、実績ともに最適と考えている」と説明した。
そのアギーレに八百長疑惑が浮上し、契約解除によって後任人事を進めた際には、当時の霜田正浩技術委員長がハリルホジッチ監督を招聘した理由を以下のように説明している。
「代表レベルにおいて、母国と異なる国の文化やメンタリティを理解し、それに順応し、その国のストロングポイントを生かしたサッカーで結果を出してきた実績を持っています。また、クラブチームでも数々の代表選手とともに戦ってきた経験があり、日本に必要な『勝者のメンタリティ』を注入してくれる監督だと感じています」
これまでの選考基準で言えば、新たな外国人監督が必要。
アギーレ元監督もハリルホジッチ監督も、もっと言えばブラジルW杯で日本を率いたアルベルト・ザッケローニ元監督も、「国際的な経験」を評価されてきた。アギーレ元監督とハリルホジッチ監督には「W杯でグループステージを突破したことがある」という共通項もあり、ハリルホジッチ監督については「強豪国ではないアルジェリアを史上初のベスト16へ導いた」ことも評価されている。
リオ五輪でU-23日本代表を率いたものの、手倉森コーチは3人の外国人監督と履歴が異なる。これまでの監督人事との整合性を満たすなら、手倉森コーチの監督昇格はあくまでも暫定的であり、「国際的な経験」を持つ外国人監督を探さなければならない。