野球のぼせもんBACK NUMBER
先制したホークスは無敵の62勝8敗。
工藤監督も絶賛する「初回」の猛攻。
posted2017/08/29 08:00
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
Kyodo News
ヤフオクドームのダグアウト裏でこの日もまた歓喜の咆哮が響いた。誰よりも威勢よく声を張り上げたのは、元気印の松田宣浩だった。
「おーし、よっしゃ、8連勝! 8連勝や!」
いつも以上に声がデカい。ロッカールームへ引き揚げる他のナインも笑顔、みな笑顔で列を成す。まさに“鷹”笑いが止まらない。
8月24日、ホークスはついに貯金を40の大台に膨らませた。そして、2位とのゲーム差はこの日の時点で「8.5差」に拡がった。
もうパ・リーグの勝負の行方は決してしまった感がある。一体、何が起きたのか。
8月14日時点でパ・リーグの首位に立っていたのはイーグルスだった。それを“マイナス1ゲーム差”の珍現象でホークスが2位で追いかけるという展開だった。
そのわずか10日後にホークスがここまで独走するとは、どれだけの人が予測出来ただろう。多くの野球ファンは熱パ到来を予感したはずだった。
8月だけでホークスとイーグルスは5度も順位を入れ替えながら、首位を奪い合っていた。さらに3位のライオンズが、8月4日まで球団59年ぶりの13連勝を決めたことで、その時点で首位まで5.5差と猛追。パ・リーグは「2強」から「3強」へと様相を変えつつあったのだ。
上位との6連戦を鮮やかに全勝で駆け抜けた。
しかし、8月15日以降、ホークスはとてつもない勢いで抜け出した。
この日のバファローズ戦に勝って首位を奪い返すと、翌日も勝利した。この連勝はともかく、間違いなく分岐点となったのは18日からの上位直接対決だ。敵地仙台に乗り込んでのイーグルス3連戦と、移動日を挟み本拠地福岡でのライオンズ3連戦。この夏最大のヤマ場を、ホークスは以下のとおり鮮やかに全勝で戦い終えたのだった。
8月18日(金)○H4-1E 東浜リーグトップ13勝目
8月19日(土)○H2-0E 千賀8回10K無失点で11勝目
8月20日(日)○H4-1E デスパイネ28号など3打点
8月22日(火)○H7-0L 今宮が本塁打などで今季最多4打点
8月23日(水)○H9-0L 柳田29号先制2ラン
8月24日(木)○H10-1L 中田7回1失点で6勝目