野球のぼせもんBACK NUMBER
先制したホークスは無敵の62勝8敗。
工藤監督も絶賛する「初回」の猛攻。
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKyodo News
posted2017/08/29 08:00
8月15日にはオリックスを下し、2005年にソフトバンクが出来てから通算1000勝目を挙げた。
昨年11.5差をひっくり返された経験が生きている。
オールスター明けの後半戦スタートから大型連勝前の8月14日までも16勝7敗と大きく勝ち越していたが、1点差勝利が7つと2点差勝利が5つ。8月9日から13日まではすべて1点差で4連勝を飾った。
競り勝つ試合が多いことで、守護神サファテのセーブ数は驚異のペースで伸びた。当然、登板数も増えている。他のリリーフ陣も同様だ。
8月1日の試合後、サファテが報道陣の前で「先発が早い回に降りるからリリーフに負担がかかっている」と発言し大きなニュースとなって取り上げられたが、チーム内では和が乱れたり波紋が広がったりする気配すらなかった。サファテは人間的にもチーム内で信頼を得ており、むしろ先発陣が奮起した恰好になっている。
まもなく残り1カ月となるペナントレース。9月1日の金曜日からは本拠地ヤフオクドームにイーグルスを迎えての直接対決3連戦が行われる。パ・リーグもいよいよ優勝マジックが点灯しそうだ。
しかし、工藤監督は表情を引き締める。
「連勝、連敗はどのチームにも起こりうる。これだけ短い期間で開いたけど、その逆もあり得る。ひとつひとつを大事に戦って、いつも言うように3連戦を勝ち越すだけ。そうやって短期間の目標を持つことが大事。もし失敗してもすぐに切り替えることが出来るから。短期の目標をクリアしていくことで、大きな目標を達成することができるんだ」
ホークスの中全体にまだ漂う緊張感。昨年11.5差をひっくり返された屈辱が、今、しっかりと生かされている。