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先制したホークスは無敵の62勝8敗。
工藤監督も絶賛する「初回」の猛攻。
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKyodo News
posted2017/08/29 08:00
8月15日にはオリックスを下し、2005年にソフトバンクが出来てから通算1000勝目を挙げた。
先制した試合は、なんと62勝8敗。
すべて快勝だ。投手陣が6試合でわずか3失点。5年目の東浜巨は自身初の最多勝タイトルを視界にとらえている。“谷間”だった24日には中田賢一が約1カ月ぶりに先発して白星を飾ったのも大きい。選手層のぶ厚さも見せつける圧勝だった。
投手力も素晴らしいが、それ以上に工藤公康監督がこの6試合で手応えを感じた勝因が打撃陣だった。なかでもポイントは、初回の攻撃である。
6試合のうち4試合で初回に先制得点を奪った。ホークスは先制すると滅法強い。サファテをはじめ強力なリリーフ陣を誇っており、この日までの先制試合の戦績は62勝8敗だ。
イーグルスとの初戦は柳田悠岐が岸孝之から先制2ラン。3戦目はデスパイネがタイムリー二塁打を放った。ライオンズ戦も2戦目、3戦目でまたも柳田が2戦連続先制打をマークしてみせた。
「どんなにいいピッチャーでも立ち上がりは不安なもの。初回に打たれるとその日の自分のボールに疑いを抱いたり、自信を持てなくなったりするんだよ」
工藤監督は投手出身らしくマウンド目線で分析する。
工藤監督も、初回の選手たちの集中力を手放しで絶賛。
今年は他にこんなこともあった。たとえば初回の1番打者。セオリーからいえばボールをよく見て、投手に球数を投げさせたりその日の傾向をチームメイトに伝えたりする役割がある。しかし、ある試合で1番に起用した川島慶三が初球のストレートを先頭打者ホームランにしたことがあった。もしかしたら「結果論」と言って首をひねる指揮官もいるだろうが、その日の工藤監督は手放しで褒めた。
「見事な狙い撃ちだった。あれでピッチャーが真っ直ぐを放れなくなったから、初回にさらに追加点を取ることが出来た。1番川島くんの働きが大きかった」
そして工藤監督は初回の先制攻撃を「選手たちの集中力がすごい」と絶賛する。とにかくダグアウトの雰囲気も今は最高潮だという。
「8月はそれまでに接戦を勝ってきたことで、選手たちに自信めいたものが芽生えているように見える。先に点を取れば勝てるとみんなの思いがひとつになっている」