“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
Jクラブはこの男を見逃してないか?
ゴリゴリのFW、山梨学院・加藤拓己。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2017/08/24 08:00
同世代のチェコ代表選手を弾き飛ばしていた加藤。高校選手権の予選が始まるまでがプロ入りするか否かの勝負の期間となる。
いよいよこれから! という時に骨折を。
不動のエースストライカーとして全国的にも注目され始め、高校サッカー選手権の山梨県予選決勝では、ゴールを決めて選手権出場に大きく貢献。いよいよ彼のサッカー人生において、初めてとなる全国大会に出場できるチャンスを掴んだ。
だが……その直後のプリンスリーグ関東のヴァンフォーレ甲府U-18戦で、競り合いでの着地の際に左足首を剥離骨折してしまう。
「本来は2カ月はギプス外したらダメなのに、どうしても初めての全国に出たくて、出たくて……。気持ちが焦りすぎて、1カ月で外してプレーをしたら……悪化して、もうオペするしか無いとなったんです」
焦る気持ち、「全国大会」という檜舞台への渇望が、逆に復帰時期を遅らせてしまったのだ。結局、高校選手権にはまったく出場できないまま、4月下旬にオペをして、復帰は6月頭まで伸びた。この空白の半年によって、前述したように、彼のもとにはJクラブからのオファーが届かない状況になってしまったのだ。
ついに憧れのチョン・テセと会えた!
「半年間、いろんなことを考えました。焦って、自分で苦しい状況に追い込んでしまったので、逆に開き直れた。完治するまで筋トレや自分と向き合う時間に費やして、完治したら、その出遅れた分覚悟を決めて全力を尽くす、と。
復帰してから、元のコンディションに戻すまで、ちょっと手間取ってしまって。インターハイ予選決勝で納得のいくプレーができないまま負けて、またも全国はお預けになってしまった。でもその分代表というアピールの場が巡ってきたのは、本当に幸せなこと。何が何でもモノにしないといけないと思っています」
待ちこがれたSBSカップの前に、彼は清水の練習に参加。そこで憧れ続けたチョン・テセと感動の対面を果たした。