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夢の実現を3年繰り上げた多田修平。
走りまくって世界のメダリストに。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byAFLO
posted2017/08/18 11:30
多田修平は、頬をふくらませてスタートに備える。笑った顔とのギャップも含め、また多くの人の心をつかんだに違いない。
たった数カ月で、ボルトの隣を走る存在に。
半年前の時点で、多田はたしかに全国レベルのスプリンターではあった。ところが、数カ月後には、世界陸上の予選でボルトの横を走り、リレーでは銅メダルを獲得してしまった。驚くほどの急成長である。
スタートにおける視線の位置の修正が、多田の加速力を引き出したようだが、それに加え、彼はタフだった。
トラックシーズンに入り、多田は多くの競技会に出場したが、どれくらい走りましたか? と質問すると、本人も正確に覚えていないという。
「きっと、10試合以上は出ていると思います。世界陸上から帰ったら、すぐに台湾でのユニバーシアードが待っているので、なかなか休めないですね」
ユニバーシアードの後は、福井で行われる全日本インカレが待つ。
2017年、目いっぱい走りまくって、多田修平は世界と戦うステージに上がった。
表彰式で、沸き上がった歓声を笑顔で聞いていたのが印象的だった。