Jをめぐる冒険BACK NUMBER
関根貴大、敬愛する原口元気に続く。
ドイツでも走り、仕掛け、決めろ!
posted2017/08/10 08:00
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
URAWA REDS
念願の海外移籍。それも2部とはいえ、敬愛する原口元気もプレーするドイツへの移籍。しかし当の本人に笑顔はなく、言葉数も決して多くない。その様子から、難しい決断だったことがうかがい知れる。
浦和レッズが誇るサイドアタッカー、22歳の関根貴大がドイツ2部のインゴルシュタットに移籍することが決まった。ヴァンフォーレ甲府戦の翌日、8月10日にドイツに向かい、現地でメディカルチェックを受けて、正式に契約を結ぶという。
「チーム状況やこのタイミングということもあって悩みましたけど、海外に挑戦するチャンスが今、自分にはあって、そこに向けてチャレンジしたいなと思って、思い切って決断しました」
移籍するにあたって関根は、素直な心境を明かしている。
原口に言われた「お前は行きたいのか」。
関根を悩ませていたのは、言うまでもなく監督の途中交代に至った浦和の不調だ。4月には首位に立ったが、5月に入って急降下し、7月29日の北海道コンサドーレ札幌戦で0-2と敗れた翌日、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督の解任が発表された。
オファーが届いたことを関根が知ったのは、まさに札幌戦を終えたばかりのときだった。ジュニアユースから浦和のアカデミーで育ってきた、生え抜き中の生え抜きである。このタイミングで出て行っていいのかという迷いと、海外移籍のチャンスが巡ってきたという喜びとの間で、気持ちが揺れ動かないはずがない。
悩める関根の背中を押したのは、同じくアカデミー出身の先輩のひと言だった。
「元気くんからシンプルに『おまえは行きたいのか、行きたくないのか』と言われて」
多くの会話をかわしたわけではないが、そのひと言で十分だった。
「自分の気持ちに素直になって、本当に行きたいと思った。それが一番大きかったと思います」