Jをめぐる冒険BACK NUMBER
関根貴大、敬愛する原口元気に続く。
ドイツでも走り、仕掛け、決めろ!
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byURAWA REDS
posted2017/08/10 08:00
浦和サポーターにも絶大な人気を誇った関根貴大。ハードワークと個人での突破を両立できるウイングバックは欧州でも貴重だ。
原口が話していた「チームの調子が悪い時」の大切さ。
'04年のジュビロ磐田戦で長谷部誠が、同じく'04年の東京ヴェルディ戦で永井雄一郎が、あるいは'11年の大宮アルディージャ戦で原口が決めたような、浦和の歴史に残るゴールだった。
だが、このゴールが大きな意味を持つのは、スーパーゴールだったからではない。
その数日前、シーズンオフで帰国した原口が、アカデミーの後輩について、こんな風に語っていた。
「関根はこれからもっともっと伸びると思う。今シーズンも活躍しているみたいですけど、選手の真価が問われるのは、今だと思う。チームの調子がいいときは誰でも活躍できる。調子が悪いときにチームを救う活躍を見せてほしい」
まさに関根が決めたのは、苦しむチームを救うゴールだったのだ。
「チームを勝たせるゴールを奪えたことが、本当に嬉しいですね」
試合後の関根は疲労困憊といった様子だったが、晴れやかに胸を張った。
インゴルシュタットはアウディをバックに持つ新興勢力。
関根が加入するインゴルシュタットは、'04年に産声をあげた新興クラブ。メインスポンサーは、大手自動車メーカーであるアウディ。そのサポートによって、創設からわずか11年で国内最高峰の舞台にたどり着いた。
1部初参戦となった'15-'16シーズン、ラルフ・ハーゼンヒュットル監督に率いられたチームは、前線から連動して果敢に追い回すプレスと速攻を武器に11位と躍進を遂げたが、ハーゼンヒュットル監督が退任した昨季は17位に終わり、2部降格を避けられなかった。
1年での1部復帰を目指す今季は、7月29日の開幕戦はウニオン・ベルリンに、8月4日の2節はザントハウゼンにいずれも0-1と敗れ、スタートダッシュに失敗している。しかし、だからこそ、やりがいがあると関根は言う。
「厳しい状況ですが、自分がどれだけチームを変えられるか楽しみ。スタジアムは埼玉スタジアムと比べて小さいけど、新たな環境の中で自分がどれだけできるのかも楽しみです」