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フィギュア界のシンデレラ三原舞依。
難病を乗り越え、幸せを伝えたい。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byNanae Suzuki
posted2017/08/15 07:30
昨シーズンは充実の一途だった三原。平昌五輪が控える新シーズンに向けて、強い決意を持って臨もうとしている。
オリンピックを夢のまま終わらせるわけにはいかない。
それだけに浅田の引退には衝撃を受けた。
「テレビを観ているときに速報が流れました。最初は信じられなくて、呆然というか、何も考えることができなくて。もう来シーズンからは同じ大会に出られないんだと思うとすごく悲しくなりました。でも、浅田選手の今までの演技を私の宝物にして、少しでも近づけるように頑張ろうと思います」
シンデレラのようなストーリーを描いたシーズンは終わり、新たなシーズン、オリンピックイヤーを迎える。
「オリンピックは小さい頃からの夢で、夢のまま終わらせるわけにはいかないと思っています。出るためにいちばん大切なのは、毎回ノーミスで演技できるようにすること。そのためにも、精神面でのコントロール力がもっと必要だと思います。課題はたくさんあります。スケーティングもそうですし、ジャンプやスピンももっと質のよいものにしたり、手を動かす一つの動きでも観てくださっている方々に伝わるような演技ができるようにしたりとか。1つ1つクリアしていけたらと思います」
「氷の上に立っているときがほんとうの自分」
女子の五輪出場枠は2。競争が激しくなることは容易に予想がつく。その中にあって、自身の強みをこう考えている。
「昨シーズン、すごく苦しんだ分、氷の上に立てるのが幸せなことなんだと感じられるようになりました。その気持ちを持って、お客様に伝わってほしいと思いながら滑っているところが強みだと思います」
何よりも、「氷の上に立っているときがほんとうの自分」という信念がある。
「スケート以外には全然取り柄がないんです。私にはスケートしかありません。だから、今まで支えてくださった方々にどれだけ恩返しができるのかを考えて、スケートでしっかり感謝の気持ちとか幸せな気持ちを伝えられるようにと思いながら滑っています」