甲子園の風BACK NUMBER
甲子園の代打本塁打が激増している!?
原因は“プロ化”と“格差”の進行か。
text by
田澤健一郎Kenichiro Tazawa
photograph byHideki Sugiyama
posted2017/07/21 12:30
高校野球界に君臨する大阪桐蔭。履正社など強豪ひしめく大阪でこれだけの成績を残していることは特筆すべきことだ。
控えにもハイレベルな選手を揃える強豪校の選手層。
しかし連続出場の増加は、その特徴の対極にあるものだ。連続出場は毎年のように安定して強いチームを整備し、取りこぼしなく勝ち続けることが条件。それも選手が入れ替わる中で、一発勝負のトーナメントで――。つまり連続出場記録とは非常に「プロっぽい」記録なのである。
そこで代打本塁打である。代打本塁打を記録しているチームと、連続出場を記録しているチームのシンクロは、「プロっぽい」というキーワードで結ばれるのではないか、と思うのだ。
近年の高校野球、強豪校において、2ケタ背番号の選手は「控え」というよりも、立派な戦力の1人であることが多い。複数投手の育成と起用はもちろん、野手も相手の先発投手、調子の善し悪しや戦略次第で2ケタ背番号の選手を先発に起用することが増えている。
今年のセンバツを制した大阪桐蔭などが典型であろう。そんな選手層、選手起用は高校野球というよりも、むしろ「プロっぽい戦い方」に見えるのだ。
実際、2014年の夏の甲子園で代打本塁打を放った明徳義塾の田中秀政は、明徳義塾では控えで代打の切り札だったが、進学した天理大では入部まもなくレギュラーを奪取。今年の全国大学野球選手権でも4番打者としてチームを引っ張っていた。
守れて走れる選手を重宝する明徳義塾・馬淵史郎監督のチームづくり、戦略の影響もあるとはいえ、そんな実力を持つ選手が2ケタ背番号の控え選手だったのである。
チーム間の実力差が広がっていることも関係が?
ちなみに連続出場の増加、イコール一部の強豪校の“プロ化”は、もうひとつ「チーム格差」という現代高校野球の特徴を反映しているようにも見える。「一部の強豪校とその他の高校の実力差が開いているように感じる」とは、ここ数年、現場の審判や関係者から聞くことが増えた言葉だ。これも連続出場の増加、強豪校の“プロ化”と無関係な話ではないだろう。
果たして今後も連続出場記録、代打本塁打は増えていくのか。それは本当に強豪校の“プロ化”を象徴するのか?
そんな視点で今夏の甲子園を観戦してみるのもおもしろい。