畠山健介のHatake's roomBACK NUMBER
畠山健介「100年後も社会で……」
本気で考える日本ラグビーの未来。
text by
畠山健介Kensuke Hatakeyama
photograph byKensuke Hatakeyama
posted2017/07/13 07:00
廣瀬氏とともに写真に収まる畠山。彼らラガーマンこそが、競技の魅力を伝える伝道師の役割を果たす。
自分の得意な分野でチームから評価されている幸せ。
一方でこうも思う。
終身雇用は確かに究極のセカンドキャリアかもしれないが、完璧なのだろうか?
時勢を見ていると、終身雇用は完璧ではない。東芝のような大企業ですら経営が傾いてしまうのだから。またラグビー部がある企業ばかりでなく、シャープ、東電、JALも経営難で存続の危機を経験している。
僕には音楽業界に身を置く、ふた回り近くも年齢の離れた友人がいる。彼とは大学時代に知り合い、10年以上の付き合いになる。50歳を越えているのに感覚が新しく、いつも新鮮なアドバイスをくれる、かけがえのない友人の一人だ。
彼が経験した高度経済成長時代の話を聞いたことがある。当時の日本は「物」が必要とされる大量受注・大量生産の時代だった。ゆえに大企業は優秀な人材と多くの人手を必要とし、「終身雇用」というシステムで多くの若者を雇用。身を粉にして働いた先人たちの努力があって、現在の日本を築き上げてくれた。
しかし、現在はコンビニの進化、インターネットの普及によるネットショッピングが隆盛を誇る。大手デパートが潰れ、宅配業界は値上げや業務見直しをしなくてはいけないほど、物が氾濫している。
大量受注・大量生産の時代は終わり、「これからは自分の好きなことを仕事にしていい時代だ」と彼は笑いながら言った。僕はプロラグビー選手。自分の得意な分野でチーム(企業)から評価されている。本当に幸せだと感じている。
幸せとは、自分の“好き”を仕事にすることでは?
幸せとは、自分の“好き”を仕事にすることなのではないだろうか?
家族を養うために、少しでも良い生活をさせてあげたいという一心で、腹を括って仕事をする。それを僕は否定しない。お金は必要だし、僕だって家族には良い暮らしをさせてあげたい。
好きな仕事で年収500万と、好きではない仕事で年収1000万。どちらが正しいのかという二元論を言いたいではない。大事なのは「どちらかを選べる」ということ。選択肢があることが大事なのだ。人生は一度きりだが、生き方は1つではない。
大卒サラリーマンの平均生涯賃金は約2億5000万円と聞いたことがある。一概には言えないが、日本国内のトップレベルのプロラグビー選手であれば、引退までになんとかこの金額を稼げるだろう。