畠山健介のHatake's roomBACK NUMBER
畠山健介「100年後も社会で……」
本気で考える日本ラグビーの未来。
text by
畠山健介Kensuke Hatakeyama
photograph byKensuke Hatakeyama
posted2017/07/13 07:00
廣瀬氏とともに写真に収まる畠山。彼らラガーマンこそが、競技の魅力を伝える伝道師の役割を果たす。
プロ契約希望の大学生は減少傾向にあるという。
前回のコラムでは2015年W杯最終メンバー31人の社員選手とプロ選手の比率、サントリーサンゴリアスの社員とプロの比率を比較し、僕が思う日本ラグビー界のプロと社員選手のベストな比率は「40:60」という仮説を立てた。
日本にまだヨーロッパやアメリカのようなスポーツ、フットボールの文化が根付いていないことに加え、スタジアムなどの環境面などを考慮すると、僕は日本ラグビー界の「完全プロ化」は時期尚早だと考えている。その一方でプロが全体の17%という現在の状況から、40%にまで増やすことが日本代表強化に直結するとも思っている。
しかし、プロ契約希望の大学生は減少傾向にあるという。「プロで勝負したい!」と思っている学生自体が減っているわけではないようだが、有望な大学生プレイヤーを採用する企業側が「社員契約の方が引退後もいいだろう?」と“100%の優しさ”を見せた提案をするそうだ。
引退後の生活、つまりセカンドキャリアがどうなるかなんて、誰にも分からない。選手が一抹の不安を抱くのは当然だ。ラグビー界のみならず、日本のスポーツ界全体が直面しているセカンドキャリア問題。競技引退後の生活は、オリンピックのメダリストですら保証されているわけではない。
ラグビー界で究極のセカンドキャリアは終身雇用。
そして大企業が支える日本ラグビー界において、究極のセカンドキャリアとは「終身雇用」なのだ。
ちなみに僕が所属しているサントリーの本社には、エントリーシートが1万通届くそうだ。その1万を800まで精査し、そこから面接などを通じて200弱に絞る。サントリーに限らずトップリーグのチームを持つほんどの企業が同じような倍率、就職難易度だろう。多くの学生、その家族が望む大企業でラグビーができる。また引退後は定年まで家族を養える、と考えれば終身雇用とは実に素晴らしいシステムだ。