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鹿島5連勝をもたらした“臨時CB”。
三竿健斗、全ては中盤で輝くため。

posted2017/07/07 08:00

 
鹿島5連勝をもたらした“臨時CB”。三竿健斗、全ては中盤で輝くため。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

大岩監督から高く評価されている三竿。兄の雄斗とともに常勝・鹿島のワンピースとして実力を育んでいる。

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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 鹿島アントラーズがリーグ戦折り返しのタイミングで、首位に浮上した。

 上位につける柏レイソル、ガンバ大阪に連勝したのは、チームにとって大きな意味を持つ。それは3-2の逆転勝ちを飾った柏戦で強く感じたところだ。

 試合は激しい打ち合いになった中、金崎夢生らの個人技と柏の猛攻を体を張って守った鹿島の守備陣の奮闘が勝利に結びついたといえる。

 その中で三竿健斗は不慣れなセンターバックに入り、Jでも屈指の身体の強さを持つクリスティアーノとマッチアップした。1対1の勝負に果敢に挑んだが、独特の間合いで勝負を仕掛けられ、足を出した瞬間に股抜きされるなど後手を踏んだ。

「(昌子)源くんや西(大伍)さんには“抜かれてもいいから、できるだけ時間をつくっていけ”って言われたんです。相手が誘ってきているのが分かっていたので、自分が逆に誘ってボールを奪いたかったんですが、すぐに体を入れ替わられたりして……。それでも点を取られなければと割り切っていたんですが1点を決められましたし、今日は完全に駆け引きで負けました」

「センターバックの守備がまだ体に染みついていない」

 本職のボランチであれば、背後に最終ラインがあるので自分の間合いで思い切りガツンと厳しくアプローチにいけただろう。だが、当たり前のことだがセンターバックは抜かれるとGKしかいないので、闇雲にボールを取りにいって交わされるわけにはいかない。

 「センターバックの守備がまだ体に染みついていない」

 こう三竿は語っていた。センターバックを務めたのはACLの広州恒大戦以来、まだ2度目のことである。本職ではない選手が守備の要を務める“違和感”を、ぬぐいきれていないのは間違いない。

 そんなギャップに苦しんだ選手は多い。代表的な例は阿部勇樹だ。オシムジャパンが戦った2007年のアジアカップでは、本職のボランチではなくセンターバックに入って戦った。そのときもボランチのアプローチがなかなか抜けず、相手との距離感を含めてセンターバックの守備感覚をつかめずに苦しんでいた印象が強い。

【次ページ】 「今は監督が信頼してくれているのを感じられる」

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