サムライブルーの原材料BACK NUMBER
140戦連続フル出場より大事なこと。
いまだ鉄壁、中澤佑二の鉄の意志。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/07/05 11:00
かつての同僚は、食事面など生活習慣に驚嘆の声を挙げたという。それほどまでにストイックだからこそ、中澤は今も日本有数のDFとしてプレーできるのだ。
松田、宮本、闘莉王……どんな相棒にも合わせられる。
プライスレスの存在価値は、ピッチで証明している。
大宮戦に勝ってリーグ戦5連勝を飾った。この間、センターバックの相棒ミロシュ・デゲネクがオーストラリア代表のコンフェデレーションズカップ出場で抜けながらも栗原勇蔵、パク・ジョンスをパートナーに迎えて守備を統率した。
もう10年以上も前になるが、リーグ2連覇した当時の松田直樹と中澤の日本代表コンビは最強だった。松田は自分に合わせてほしいというタイプ、中澤は合わせることができるタイプ。代表では宮本恒靖や、田中マルクス闘莉王とも組んできた。どんなタイプと組もうが、相棒に合わせながら守備を形成できるのも中澤の強みだ。
現在、14失点は川崎フロンターレと並んでリーグ最少である。
堅守があって攻撃が活きてくる。勝利を重ねていくことで、受け継がれてきたマリノスのベースが今年はより色濃くなってきている。
「僕が欲しいのは個人の記録よりも、Jリーグでの優勝」
「90分通して常に0-0の気持ちで臨めているところがいいのかなとは思います。前半は割り切って、攻められなくてもしょうがねえや、と。良い形で(サイドハーフの)マナブ(齋藤学)もマルちゃん(マルティノス)も一生懸命、守備をやってくれている。今のマリノスは守備から入っていって、そこがなくなってしまうと多分ダメなんじゃないかと思う。守備の意識をしっかり保ちながら、チャンスに一撃で仕留める、と」
リーグ5連勝は王手を掛けながら優勝を逃した2013年シーズン以来だという。
「僕が欲しいのは個人の記録よりも、Jリーグでの優勝なので」
義務と責任の対価は、シャーレを掲げること。
鉄人、鉄壁、そして鉄の意志。
中澤佑二が錆びつくことは、ない。