ラグビーPRESSBACK NUMBER
代表戦の集客率53.8%は是か非か。
W杯まで2年、ラグビー界に1つ提案が。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byAFLO
posted2017/06/21 08:00
メインスタンドはかなり埋まっていたが、1万人以上の児童を無料で招待したことなども考えると、容易ならぬ状態であるのは間違いない。
ラグビーのメディア対応はどの競技にも負けていない。
2015年ワールドカップの余熱は、トップリーグでもスーパーラグビーでも感じにくくなっている。以前からのファンが人気を支えてはいるが、2年後のW杯で日本代表が“ホーム”の雰囲気で戦うためには何が必要なのだろう。
日本代表選手たちのメディア対応は、国内のどの競技の選手にも負けていない。ミックスゾーンと呼ばれる取材エリアで足を止めた選手が、自分から質問を切り上げることはない。足を止めずに素通りをする選手もいない。
監督とキャプテンによる記者会見と、会見に出ない選手の取材時間も、重ならないように工夫されている。目の前にいる記者の向こう側に、選手たちはラグビーファンの姿を思い浮かべているのだろう。
もったいないことがあるとすれば専門用語か。
ひとつだけもったいないことがあるとすれば、選手の答えにラグビー用語が多いことだ。そもそも専門性の高い競技だという大前提があるとしても、カタカナがひんぱんに登場する印象がある。
ブレイクダウン、ストラクチャー、ジャッカルといった単語から、ラグビー観戦初心者が具体的な場面やプレーをイメージするのは難しいと感じる。「コミット」や「コネクト」といった日常でも使われる単語が、ラグビーでは少し変わった意味を持っていることも戸惑いを誘う。
そこには、どのようなデメリットがあるのか。
テレビカメラの前で話す選手が、カタカナの専門用語をたくさん使ったとする。
すると、地上波のニュース番組では流しにくい。ラグビーファン以外の視聴者も想定すれば、選手の答えを理解してもらえない恐れがあるからだ。
テレビカメラだけでなくインターネットでも、記事が掲載されにくい。
僕はラグビーよりサッカーに馴染んでいる人間だが、6月17日のスポーツでより価値を持っていたのは、優勝も降格も決まらないJリーグではなく、ラグビーのリポビタンDチャレンジカップだったと思う。国内で行われた国際試合、しかも14時キックオフということを考えても、日本対アイルランド戦は速報のしやすいイベントである。
ところが、ニュースサイトにはJリーグの記事が溢れていた。