松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
松山英樹に「最悪」と言わせた物は?
全米OPで陥った迷路の正体は……。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph bySonoko Funakoshi
posted2017/06/16 11:50
1ラウンドの中には、見えない岐路に何度も遭遇する。松山英樹は再びプラス方向へ進むことができるだろうか。
小さな落胆が、松山の心を揺さぶる。
あのイーグルで14番のボギーを帳消しにして、さらに1アンダーのレッドナンバーへと進めたのだから、好転しかけた流れを16番でさらにいい方向へ持っていきたかった。
そう、パー3の16番こそは、この日の松山が差し掛かった最初の岐路。しかし、見事にピン4mに付け、絶好のバーディーチャンスを創出しておきながら、それを活かせずパーどまり。そのパーでさえ、決して「最悪」ではなかったが、松山が小さな落胆を感じたことは疑いようもない。
そして、次なる17番は左ラフからグリーンをオーバーし、寄せ切れずにボギー。15番のイーグルでせっかく好転しそうだった流れを、バーディーを逃した16番で淀ませてしまい、その落胆が17番のボギーへとつながっていった。
もしも、16番でバーディーが取れていたら――。もしも、17番でパーが拾えていれば――。そう言ったところで、「タラレバ」が何の意味もなさないことはゴルファーなら誰もが承知している。
とはいえ、どっしりと構えて見える松山英樹も感情を抱く人間だ。差し掛かった岐路を悪い方へ進んでしまったと感じれば、やっぱり心は揺れ動く。
その揺れは、折り返し後に、さらに揺れてしまった。
隣のリッキー・ファウラーがいい方へ進む一方で。
パー5の1番では、またしてもバーディーが奪えずじまいとなったが、次なる2番(パー4)はフェアウェイからピン2mにぴたりと付け、ここでも絶好のバーディーチャンスを創り出した。
それが、この日の2つ目の岐路だったのだと思う。この2mを外し、パーどまりにしてしまったとき、松山はさらなる小さな落胆を覚えたのだろう。その落胆が3番のティショットを右に向け、足場の悪いショットを強いられる流れになって、その結果ボギーを喫した。
同組で回っていたリッキー・ファウラーは、松山とは正反対に、差し掛かった小さな岐路をすべて、いい方へいい方へと進んでいた。前半で4つ伸ばし、後半もバーディーを重ね、4つのパー5すべてでバーディーを奪い、ボギーは1つも叩かない。