松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
松山英樹に「最悪」と言わせた物は?
全米OPで陥った迷路の正体は……。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph bySonoko Funakoshi
posted2017/06/16 11:50
1ラウンドの中には、見えない岐路に何度も遭遇する。松山英樹は再びプラス方向へ進むことができるだろうか。
松山に「最悪」という言葉を使わせたものは……?
そんなファウラーを傍目に、松山はこの日の最後のパー5となった7番でもバーディーを奪えず、パーどまり。
落胆に次ぐ落胆に、ついに耐えきれなくなったのだろう。8番ではフェアウェイからショートアイアンで打った第2打がグリーン手前のバンカーへ。松山らしからぬミスショットとなり、ここでもボギーを叩いた。
松山が苦しんだのは、エリンヒルズのコース云々ではなく、優勝候補と目されてのプレッシャーでもない。この日の運命を決める小さな岐路を1つ、また1つと進み違えて陥った迷路から抜け出せないうちに18ホールが終わってしまった。
ショットは「良くなかった」。パットは「入ってないので、良くない」。アンダーが出せなかったということは「(自分の)状態が良くなかったということ」。
それは、もちろんそうなのだが、彼に「最悪です」とまで吐き捨てさせたものは、パットを決められず、チャンスを生かせず、その落胆をボギーへつなげてしまった悪循環。「最悪」の正体は、岐路の進み方を誤り、その挙句に陥った迷路だった。
次なる岐路は、1日目と2日目の間にある。
「小さなことが積もっていけば悪くなる。小さなミスが(見えないようでも)自分の中にはある。それが積もって8番みたいに、いいところから大きなミスになる。その小さなミスを無くしていければ、もうちょっといいプレーができると思う。(今日の結果は)最悪です」
かくして、松山の全米オープン初日は最悪に終わった。
だが、ゴルフは4日間の戦いだ。最悪に終わった初日も、もしかしたら別の何かの岐路になる。そんなふうに考え方を切り替えれば、残り3日間に、まだまだ自力で可能性をもたらすことができる。
挽回力、忍耐力、ネバーギブアップは松山の持ち味だ。
「終わったことなので。明日のベストを尽くして頑張りたい」
今日から明日へ。次なる岐路をどう進むか。チャンスは、まだある。