サムライブルーの原材料BACK NUMBER
正GKに限りなく近い男、東口順昭。
「永嗣さんはでかい存在」でも……。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/06/07 12:50
初招集の中村航輔に注目が集まりがちだが、序列で言えば正GKに限りなく近い位置にいるのが東口順昭なことは間違いない。
大久保嘉人のPKをとめた名誉の負傷ではあったが……。
指揮官はこのFC東京戦を視察し、今野泰幸を招集してUAE戦で先発起用している。PKストップ、終盤のビッグセーブなど獅子奮迅の活躍を見せた東口を、西川に代えて先発させるプランがあったことを明かした。結局、メツで出場機会を得ていなかった川島が先発を勝ち取り、2試合とも勝利に大きく貢献したのだった。
大久保嘉人のPKを弾き、前に出てリバウンドを押さえようと交錯して骨折した名誉の負傷。とはいえ、待ちに待った「代表正GK」のチャンスが逃げたことに多少なりともショックはあった。後に控える代表戦を考えて手術回避も模索したというが、避けることはできないレベルのケガだった。
東口は、どんな心持ちであの2試合を眺めていたのか。
彼は言った。
「純粋に応援していましたよ。勝たないとホンマに(最終予選が)厳しくなってしまうし、みんなには頑張ってほしかったですし。勝ってくれて、凄くうれしかった。ただ……もし自分がこのピッチに立っていたらと考えると、正直、悔しかったですね。凄く悔しかったです」
凄く嬉しい反面、凄く悔しくもあった。
正GKは、確実に近づいているのだ。
だが同時に、指揮官のコメントからは、自分の現在地を確認することもできた。正GKから離れていっているのではない。着実に、確実に近づいているのだ、と。
「積み上げていってるんやなとは感じました。継続して呼ばれてきて試合数を重ねられないのはGKならでは。(精神的には)やっぱりきつかったですよ。でも評価されているから、代表にいる。出ようが出まいが常に全力でやる。もちろん出るために練習でアピールしますけど、出なかったら出なかったでまた次に頑張るという切り替えは、自分のなかでもう完全にできています。これまでずっと呼ばれてきたから、それができていると思うんですよ」