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正GKに限りなく近い男、東口順昭。
「永嗣さんはでかい存在」でも……。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byJ.LEAGUE PHOTOS

posted2017/06/07 12:50

正GKに限りなく近い男、東口順昭。「永嗣さんはでかい存在」でも……。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

初招集の中村航輔に注目が集まりがちだが、序列で言えば正GKに限りなく近い位置にいるのが東口順昭なことは間違いない。

GKに必要な要素の中でも、安定性が彼の魅力。

 積み上げ。

 代表に初めて呼ばれてから、もう6年になる。アルビレックス新潟時代の2011年3月、東日本大震災の復興支援チャリティーマッチに日本代表として招集され、同年6月のキリンカップ、8月の韓国戦と続けて呼ばれたが、その後右ひざ前十字じん帯損傷の大ケガを負い、ザックジャパンから遠ざかる形となった。

 2014年に移籍したガンバ大阪で3冠制覇に貢献し、アギーレ体制に移行していた11月ホンジュラス、オーストラリア戦で代表復帰を果たすと以降、代表に定着していった。

 ハイボールに強く、セービング、足元の技術といずれもGKに必要な要素を兼ねそろえているが、ムラのない安定したパフォーマンスこそが彼の魅力だと言えるだろうか。たとえ代表で出場できなくても練習でアピールし、ガンバ大阪に戻って安定したプレーを続けて、再び招集されてアピールを続ける……。

 置かれた状況に左右されず「全力でやる」を繰り返す。それが東口順昭の日常になった。

 頬骨の骨折は全治1カ月と診断されたが、彼は早々に復帰している。

 前に出ていって相手と接触することに恐怖心は残ったものの、実戦を経てすべて消し去った。ガンバのため、そして代表につなげていくため。すぐに気持ちを切り替えて次へと向かった。コンディションも、パフォーマンスも良い状態をキープしていく。その姿勢が評価されたからこそ、ハリルホジッチ監督から今回もお呼びが掛かったのである。

 現状、越えなければならないのは川島の壁だ。

「永嗣さんはパワーアップして帰ってきた」

 常に刺激の対象となっている高い壁だからこそ、乗り越えがいがあるというもの。尊敬もライバル心もひっくるめて、「自分にとってでかい存在」と言う。

「永嗣さんは、(フランスで)試合に出てないときも、何ならパワーアップしたぐらいで帰ってきていましたから。練習から抜群(の動き)やし、向こうで充実した練習をやってるんやなって感じました。監督もそれを感じるんで、出ていないときも永嗣さんを呼び続けたんだと思う。でも充実した練習というのは自分も同じですから」

 親善試合シリア戦、ロシアW杯アジア最終予選イラク戦とも、GKは川島の先発が予想される。しかし東口がやることに変わりはない。

 いつチャンスが来ても、いいように。いつか来る、チャンスのために。

 積み上げは、力なり。

「出ようが出まいが常に全力でやるだけ」である。

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