藤田俊哉の日欧蹴球比較論BACK NUMBER
藤田俊哉、コーチとして初タイトル。
オランダ1部昇格の幸せな体験。
text by
藤田俊哉Toshiya Fujita
photograph byToshiya Fujita
posted2017/06/06 08:00
優勝報告会で、チームスタッフとともに優勝皿を手にしての笑顔。この時こそが、サッカーに携わる醍醐味だ。
優勝決定後の深夜、発煙筒を焚くサポーターたちが。
振り返れば、優勝決定後のアウェーゲームからフェンロにバスで戻ってきたときもそうだった。深夜1時を過ぎているにもかかわらず、スタジアムの駐車場を埋め尽くすサポーターが、発煙筒を焚いて出迎えてくれた。
まるで火事のようなその光景は異様で、怖くもあり、なおさら脳裏に焼きついている。発煙筒の真っ赤な煙でバスは前が見えなくなったが、それでもゆっくりと前に進みサポーターの声援に向かった。その夜はサポーターがいつまでも踊り、歌い続けて喜んでくれた。
その光景を眺めながら、これまで3年半のことを思い返してみたとき、目に涙が浮かんだ。負けて悔しいときや、辛い時には流したことのない涙。プロ選手になったころからは、特に意識してきたつもりでいる。
しかし嬉しいときや、チームでの勝利や優勝の瞬間には自然に涙があふれてくる。不思議なことにそれだけは止めることができない。こうして振り返ってみても再び涙が出そうになる。
そんな気持ちになれるから、僕はサッカーから離れられないのかもしれない……。10歳、小学4年時から始めたサッカーが今でも僕を引っ張り続けてくれている。それには感謝しかない。心から感謝している。
フェイエノールト、そしてアヤックスの奮戦。
2017-2018シーズンからは、VVVフェンロのすべての人たちが待ち望んだ、エールディビジでの戦いがスタートする。そのスケールは、これまで見てきた景色とは比べものにならないものになる。
スケールの違いは、優勝パレードにも見て取れる。フェンロの優勝パレードは1万人のサポーター・市民で盛り上がった。だが、エールディビジ優勝クラブであるフェイエノールトでは、15万人に及ぶ数のサポーターや市民がパレードに参加したという。
しかも、そのパレードの日は月曜日の正午に行われたというから驚くばかり。実際にテレビ中継を見たが、そのスケールの違いには驚いた。
また名門アヤックスも今シーズンのヨーロッパリーグで25年ぶりに決勝に進出。平均年齢22歳の若いチームが世界的なビッグクラブであるマンチェスター・ユナイテッドに挑んだ。結果は準優勝に終わってしまったが大善戦。ここ数年元気のなかったオランダサッカーに明るい光を与えてくれたことは間違いない。