レギュラーだった板倉の故障で回ってきた出番。

　だが、大会直前のホンジュラス戦のボランチは原と坂井。

　初戦の南アフリカ戦も板倉滉と坂井と、彼の序列は変わらないように見えた。

　しかし、南アフリカ戦の後に板倉が左ふくらはぎの違和感を訴えたことで、状況は一変。彼にスタメンの座が回ってきた。

「韓国に来てからのコンディションは悪くないですね。徐々に身体もキレてきているので、自分がやるべきことをしっかりとやるだけです」

　この言葉通り、チームがウルグアイの個の力に苦しむ中でも、彼の動きだけは非常に良かった。守備的な原との相性も良く、原が献身的なプレーで広範囲をカバーする分、市丸はより前を向いてプレーすることができていた。

前半に1点返せば、何が起こるか分からないと思っていた。

　そのウルグアイ戦では、9分にセンターライン付近でボールを受けると、DFラインの裏に飛び出した岩崎へピンポイントのロビングパスを出して、シュートへ繋げている。岩崎のシュートは枠を外れたが、その早い動き出しを見逃さなかった質の高い縦パスだった。

　54分には鋭い出足でボールをインターセプトすると、そのままドリブルで持ち込み、飛び出して来たGKの頭上を狙うループシュート。これは相手GKのファインセーブに阻まれたが、ウルグアイの選手たちをヒヤリとさせるに十分なプレーだった。

　結果的に0－2の敗戦ではあったが、市丸の出来はこのチームに1つのポジティブな要素を加えてくれた。

　そして、イタリア戦。原と共にボランチでスタメン出場を果たしたが、立ち上がり7分で0－2にされるという最悪の状況に。ただ、そんな危機的状況から浮足立つチームを落ち着かせていった動きは、秀逸だった。

「ああいう形での2失点は、全然アカン入り方をしたなと思いますね。でも、前半の内に1点取ったら、その後は何が起こるか分からないとは思っていたので」

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