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プロレスとファン投票の複雑な関係。
猪木&馬場から、1.4のメインまで。 

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堀江ガンツ

堀江ガンツGantz Horie

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posted2017/05/30 07:30

プロレスとファン投票の複雑な関係。猪木&馬場から、1.4のメインまで。<Number Web> photograph by AFLO

アントニオ猪木とジャイアント馬場。日本プロレスの2大巨頭が1つのリングに立つ驚きは、当時いかほどだっただろうか。

ハンセンvs.ブロディの夢対決はまさかの事件で……。

 一方、全日本では、'88年8月29日に日本武道館でビッグイベント『サマーナイト・オールスター・ウォーズ』を開催し、メインイベントをファン投票で決めると発表した。

 この時代の全日本で実現可能な夢のカードナンバー1は、なんと言ってもスタン・ハンセンvs.ブルーザー・ブロディの最強外国人レスラー決定戦。

 投票となれば、ぶっちぎりでこのカードが1位になることは火を見るより明らかだったが、あえてファン投票を行なったのには理由がある。

 当時、トップ外国人レスラーは、各シリーズそれぞれの“主役”であり、そこに序列をつけることになるトップガイジン同士の一騎打ちはタブー視されていた。特に、ハンセンとブロディは'80年代前半までタッグを組んでいた大学時代からの盟友同士であり、直接対決はレスラー心理を考えると非常にデリケートなもの。そのため、実現するには「ファン投票」という“口実”が必要だったのだ。

 ファンもその辺は阿吽の呼吸で心得ており、募集を開始すると「ハンセンvs.ブロディ」に投票が集中。しかしその直後の7月16日、ブロディはプエルトリコで刺殺され、帰らぬ人に。ハンセンvs.ブロディの超・夢のカードは、実現を目前にして、永久に消滅。結局、8.29武道館大会は『ブルーザー・ブロディ・メモリアルナイト』に大会名を変更して開催し、ハンセンが、ブッチャー相手に追悼試合を行い、亡き盟友を弔った。

 なお、実現することはなかったが、ブロディ絡みの投票結果も発表され、シングル部門で1位はブロディvs.ハンセン、タッグ部門は1位がハンセン&ブロディvs.ロード・ウォリアーズ、2位は鶴田&ブロディvs.天龍&ハンセン、3位が鶴田&ハンセンvs.天龍&ブロディだったが、それらすべてが幻となってしまった。

観客に勝敗を委ねる、という斬新すぎる試合も。

 2000年代に入ると、当時プロレス界の常識を覆す話題を次々と提供していたハッスルが、これまでにないファン投票を行い、注目を集めた。

 それは'05年3月18日『ハッスル8』両国国技館大会で、「観客ジャッジメントマッチ」と銘打ち、小川直也vs.川田利明の勝敗自体をファン投票に委ねるという斬新すぎるもの。

【次ページ】 試合は小川が勝ったが、ファンは川田一色。

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