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チャンピオンベルト破壊大作戦。
内藤哲也の不満と棚橋弘至への思惑。
posted2017/05/24 11:30
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
内藤哲也は不満いっぱいだ。
ずるがしこく理不尽にも思える内藤の発言は、冷静に耳を傾ければ、意外と論理的なのだ。内藤の不満は新日本プロレスという組織、棚橋弘至、そしてインターコンチネンタル王座のベルトにぶつけられている。
体制への批判はサラリーマンにとってはご法度だが、逆にそれがファンの心をつかんでいるのも事実だ。
「新日本プロレスは所属レスラーの全員をチャンピオンにしたいのか、このインターコンチと似たような理念の新しいタイトルをまた作った」
内藤はUSA進出という戦略用に、新日本プロレスが用意した新タイトル「IWGP USヘビー級王座」にかなり批判的だ。
「都合のいい時にオレの挑戦者として名乗りを上げる」
棚橋は長い間、口には出さないが、やっぱり体調が万全でないのか、NEVERの6人タッグあたりでお茶を濁している。「だが、都合のいい時にオレの挑戦者として名乗りを上げる」から内藤の不満は倍増する。
「1月4日の東京ドームで決着がついているんですよねえ」
ドームでの25分余の戦いは、内藤がデスティーノからフォールを奪って、2度目の王座防衛を果たしている。
「1つの時代が終わった」と寂しがった。
それなのに4カ月が過ぎれば、ただ、「棚橋が挑戦したい」というだけでタイトル戦が決まる。
王者である内藤の意向などないに等しい。だから、内藤はこれにも不満いっぱいだ。
「チャンピオンの意思は尊重されない。棚橋ならやっぱり棚橋の思い通りだからね」
新日本プロレスの観客動員やグッズの売り上げに多大に貢献したのは、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンの自分である、という自負が内藤にはある。