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清宮幸太郎は早大進学より即プロへ!
東大相手に本塁打を量産しても……。 

text by

小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byHideki Sugiyama

posted2017/05/29 07:00

清宮幸太郎は早大進学より即プロへ!東大相手に本塁打を量産しても……。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

高校3年間着用した「WASEDA」のユニフォームを大学でも着るのか、それとも……。清宮の進路は、大きな注目を集めることになる。

「ただじゃ帰させませんね。スター、スター」

 翌22日の一発は作新学院が8対3でリードする8回裏に飛び出した。それまでセンターフライ、空振りの三振、キャッチャーへのファールフライに倒れ、ヒットが出る気配すらなかった。それが1ボールからの2球目、真ん中高め133キロのストレートを振り抜くと弾丸ライナーの打球はライトスタンドを飛び越えて、打球は場外の茂みに消えた。

 翌日の日刊スポーツは打った瞬間、作新学院のキャッチャーが打球方向を見失い、真上を見上げる写真を載せているが、ここに清宮の凄さが垣間見える。

 清宮が打たないと判断したからこそキャッチャーは打球方向を追えなかったのである。ちなみに、このホームランを見届けた日本ハムの大渕隆スカウトは「ただじゃ帰させませんね。スター、スター」と呟いていた。

過去“ドラ1レベル”の大砲は高卒でプロ入りしている。

 この清宮の進路が話題になりはじめている。高校を卒業してプロ入りするのか、系属校の卒業生として早稲田大へ進学するのか。過去の球界の実績から見ると、清宮くらいの大物はほとんど高校卒業と同時にプロ入りしている。

 清原和博(PL学園→85年西武1位)、松井秀喜(星稜→92年巨人1位)、中田翔(大阪桐蔭→07年日本ハム高校生ドラフト1巡)、筒香嘉智(横浜→09年横浜1位)、大谷翔平(花巻東→12年日本ハム1位)たちで、大谷は直メジャーの道こそ模索したが、大学進学という選択肢はなかった。ドラフト以前では川上哲治(熊本工)、中西太(高松一)、王貞治(早稲田実)、張本勲(浪商)も高校卒業後、即プロ入りしている。

 反対に大学経由でプロ入りしたスラッガーは以下の通りだ。

 田淵幸一(法政大→'68年阪神1位)、山本浩二(法政大→'68年広島1位)、岡田彰布(早稲田大→'79年阪神1位)、広沢克己(明治大→'84年ヤクルト1位)、高橋由伸(慶応大→'97年巨人1位)である。

【次ページ】 大学・社会人を回ったのは原辰徳、福留孝介ぐらい。

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