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堀口恭司vs.所英男はミスマッチか?
“紙一重”を追求するRIZINの面白さ。
posted2017/05/28 08:00
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Norihiro Hashimoto
おそらくこれは、ミスマッチだ。
7月30日のRIZINさいたまスーパーアリーナ大会。ここでスタートするバンタム級GPで、堀口恭司vs.所英男の1回戦が決定した。日本人対決であり新旧対決、現在進行形vs.レジェンド、そんな図式のマッチメイクだ。
ファンによる勝敗予想を行なえば、「堀口勝利」が圧倒的多数になるはずだ。
なにしろ所自身が「100人いたら99人が僕が負けると思うはず」と言うのである。トレーナーを務める勝村周一朗にいたっては、さらに厳しい目で見ている。
「本人にも伝えたけど、勝つ確率は1%もないです」
「これから一緒に少しでも1%に近づけるようにやれたら」(ツイッターより)
堀口は元UFCフライ級3位で、タイトルマッチの経験もある。つまり“世界最高峰”、その頂点に一度は手をかけている選手だ。
今年からRIZINに参戦しているのは、UFCでは軽量級にチャンスが少ないと判断してのこと。“クビ”ではなかった。
ワールドクラスの堀口、日本格闘技ブームの申し子・所。
今回のGPも、もともとはフライ級で開催するプランがあったのだが、4月の元谷友貴戦での圧勝ぶりに「堀口の階級を上げてのチャレンジが見たい」(榊原信行実行委員長)とバンタム級に方向転換された経緯がある。
ワールドクラスのアスリートである堀口に対し、所は日本における格闘技ブームの申し子のような存在だ。
ZSTでキャリアを積み、HERO'Sで修斗王者アレッシャンドリ・フランカ・ノゲイラを下して脚光を浴びた。
一時はアメリカに主戦場を移そうとしたこともある所だが、RIZIN旗揚げとともにあらためて、地上波中継のある舞台へ。
いまやジム経営者になった“元・闘うフリーター”は、才賀紀左衛門、山本アーセンという若い選手の挑戦を受けて立つ立場で輝きを放っている。
堀口は26歳。所は39歳。
世代が違い、立ち位置も違う。
実力拮抗、どちらが勝つか分からないことをマッチメイクの唯一の基準とするなら、この試合は成立し得ない。ただ、それを成立させるのがRIZINなのだとも言える。