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大混戦ダービーは騎手の腕次第!
カデナで福永祐一の男泣きが見たい。
posted2017/05/27 08:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Kyodo News
3歳馬の頂点を決める「競馬の祭典」、第84回日本ダービー(5月28日、東京芝2400m、3歳GI)のスタートが近づいてきた。
本命不在の大混戦。重賞を2勝したのは2頭だけ。どの馬が勝ってもおかしくない……というより、あまりに混沌としているので、この18頭のどれかがダービー馬になるというのが不思議にも思えてくる。
こういうときは、ちょっとしたことが勝敗に大きく作用する。装鞍所やパドックで入れ込んだり、馬場入りのとき歓声でパニックに陥ったり、馬群が殺到する1コーナーで不利を食らったり、ペースが緩んだときに掛かったり……といったマイナスが、普通のレースの何倍ものダメージとなってのしかかる。
それがGIの怖さ、いや、ダービーの怖さである。
武豊のダンビュライトの1枠1番は脅威になるか。
ここで頂点に立つには、人馬が一体となって、特殊な緊張感のなか平常心を保たねばならない。だから結果を出す騎手が偏っているのだろう。
と思っていたら、史上最多のダービー5勝を挙げている武豊が乗るダンビュライト(牡、父ルーラーシップ、栗東・音無秀孝厩舎)が1枠1番を引いた。
先週のオークスで好タイムが出たように、今の東京は高速馬場だ。内も外もイーブンに馬場状態がよければ、当然、コースロスのない内枠が有利になる。これまで武が勝ったダービーでの枠順は5、2、3、5、1。最後の1番は、2013年のキズナである。
内枠の生かし方を知る武が絶好枠を引いたというだけで、ほかの17人の騎手は嫌なイメージを抱くはずだ。
視点を逆にすると、この枠を引いた時点で、武が一歩リードした、と言える。皐月賞で3着になった直後の悔しそうな表情は、健闘したというより「獲りそこねた」と思っていたからだろう。コンビ2戦目の今回は違った味を引き出してくるのではないか。左回りでの好走歴もあるだけに、優勝候補の一頭であることは間違いない。