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チャンピオンベルト破壊大作戦。
内藤哲也の不満と棚橋弘至への思惑。 

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原悦生

原悦生Essei Hara

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posted2017/05/24 11:30

チャンピオンベルト破壊大作戦。内藤哲也の不満と棚橋弘至への思惑。<Number Web> photograph by Essei Hara

とにかく経営陣だろうが逸材だろうがお構いなしに“直言”していく内藤。一見乱暴に見えるその言動にも、すべて意味があるということ。

新日本プロレスは内藤の貢献度を政治的に認めない!?

 先日の新日本プロレス戦略発表会で木谷高明オーナーは、右肩あがりの売り上げグラフを示して、2020年の東京ドーム大会では「満員を目指す」と宣言した。

 内藤の貢献というのは、このグラフに如実に表れている。

 だが、新日本プロレスは内藤の貢献度を政治的には認めようとしない。むしろ、なんだか気分転換みたいに棚橋の王座返り咲きを模索しているようにも感じてしまう。

「僕は棚橋とタイトルマッチやりたくないんですよ。決着ついているし。それなのに大阪でタイトル戦が、ごり押し的に組まれた。その棚橋はケガ(右上腕二頭筋腱遠位断裂)だと言って、このシリーズにも出てこない。そして、大阪の2日前に都合よく復帰する。そのくらいの怪我だったら、会場に来てファンのみなさんに欠場のお詫びをすればいいんじゃないですか」

 内藤にしてみれば、理念を失ったベルトなど、口には出さないが「棚橋にくれてやる」くらいの勢いだ。

 これは内藤を支持するファンの思いを代弁している。

 だから、棚橋に「ベルトを投げるな」と言われれば、投げる。

「ベルトを蹴飛ばすな」と言われれば、蹴飛ばす。

 そして、次は想像も及ばなかったが、内藤は棚橋が欠場した5月18日、ついにベルト破壊に乗り出した。

徐々に……本当に壊れ始めたチャンピオンベルト。

 後楽園ホール。

 ベルトを蹴飛ばしながら入ってきた内藤は、そのベルトを鉄製の階段に思いっきり叩きつけた。

 さらに退場時には鉄柱に視線を止めると、カープのピッチャーになったように振りかぶって、ベルトを鉄柱めがけて投げつけた。見事にストライクだった。

 頑丈なインターコンチのベルトも、こうまでされては、ついに壊れ始めた。

 内藤はやんちゃ坊主のような笑みを浮かべて、このベルト破壊作戦を今後も続けるのだろう。

 時間をかけて、ベルトは変形していく。修復しようとしても、修復不可能なほどにベルトは壊れていく。

【次ページ】 ベルトの残骸を棚橋が涙を浮かべて抱きしめる……。

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