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BリーグがNBAより面白いなんて!
「第3戦」という激アツなルール。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byAFLO
posted2017/05/23 08:00
川崎ブレイブサンダースのニック・ファジーカスは1試合平均27点という、2位を突き放す数字でシーズン得点王に輝いた。
ミスで第2戦の敗因を作った男が、第3戦で爆発。
川崎は初戦で勝利し、第2戦もほぼ勝利を手中にしていた。残り23秒で77-75と2点差のリード。東京はファウルゲームを仕掛けた(わざとファウルして相手にフリースローを与え、外すことに期待しつつ、次のオフェンスを自軍のものにする戦術)。
川崎のシューターはファジーカス。レギュラーシーズンの得点王でフリースローもうまい。ところが――。ファジーカスが2本とも外してしまい、東京はエアーズの3ポイントシュートで逆転、第3戦に持ち込んだのである。
ファジーカスのミスが、東京に逆転の扉を開いてしまったのだ。
しかし、第3戦ではファジーカスが奮起した。26-18と川崎が勝利をおさめたのだが、ファジーカスはそのうち12点をマークし、得点王らしい働きを見せた。
やはり、川崎は彼のチームだ。
栃木と三河の試合も、大激戦だった。
一方、栃木対三河も第2戦から大いに盛り上がった。初戦を奪い、しかもホームの栃木が圧倒的に優位かと思われたが、第2戦の第3Qが終わった時点で38-57と追う展開に。
このあたりのマネージメントは難しかっただろう。正直、この点差をひっくり返すのは難しい。それならば主力を休ませ、第3戦に備えた方がいいのではないか――。
ところが、栃木はベンチメンバーが大奮起、残り2分38秒で61-61の同点に追いついたのだ。
試合は残り33秒で三河のエドワーズがシュートを決め、65-63と三河のリード。最後のオフェンスでは逆転を狙い、栃木の中心選手、ライアン・ロシターがリバウンドから攻め上ろうとしたがターンオーバーで試合終了。第3戦にもつれ込んだ。
そして、第3戦。
まず、評価しておかなければならないのは、三河の金丸晃輔だ。6点をマークしたが、いずれも難しい体勢からのショットで、見ていて惚れ惚れした。この調子をナショナル・チームでもぜひ維持して欲しい。
しかし、勝負を決めたのはロシターだった。第2戦では11点と不調、第3戦に入っても栃木のオフェンスは重たかったが、なんとかロシターがつないだ。
そして12-12で迎えた残り2秒、ロシターがレイアップを決め、劇的な勝利で決勝進出を決めた。
両試合とも、バスケットの魅力が存分に詰まった試合であり、週末は大差が続いていたNBAよりも、Bリーグの方が興奮度は高かった。