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2度の戦力外を乗り越えた久保裕也。
松坂世代、後藤武敏との友情は続く。
text by
瀬尾泰信(Number編集部)Yasunobu Seo
photograph byYasunobu Seo
posted2017/05/11 07:00
梨田昌孝監督は「若い選手の手本に」と、久保を高く評価しているという。
「どこかに引っかかってくれと思ってましたからね」
翌日、スポーツ紙などで報道されると、久保の元には祝福のメッセージが相次いで届いた。その中には、後藤からのメッセージもあった。
「久保が合格したって聞いて、もう感動しちゃって……。どこかに引っかかってくれと思ってましたからね。すぐ、お祝いのメッセージを送りました」
後藤が嬉しそうにこう話していたことを久保に伝えると、瞳をいたずらっ子のようにクリクリと動かし、こう返した。
「いやもう、メッセージがほんとうにたくさん来ちゃったから、優先順位をつけて、先輩やお世話になった人から順に返して行ったんです。後藤への返事は……、優先順位低めです。後輩よりも低い(笑)」
後藤は今、イースタンリーグで3割を超す打率を残しながらも、二軍で調整中。
久保もまた、試行錯誤を重ねながら、二軍での登板が続く。
チームも違えば場所も違う。
でも、後藤が久保へのメッセージに記した邪心のかけらもない言葉を思い起こせば、一瞬にして、2人が野球少年だった頃へと時が還っていくような気がしている。
「一緒にがんばろうぜ! って、書いて送りました」
今、プロで現役生活を続けている「松坂世代」の選手は松坂大輔を含めて19人。Number926号「2017年の松坂世代」では、久保や後藤をはじめ、彼ら19人の今にじっくりと迫りました。また、プロを経験した松坂世代の選手全93人の“同窓会”名簿も掲載しています。それぞれの物語、それぞれの感動を是非味わっていただければ幸いです。