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「バレー人生すべてを懸けて闘う」
中田久美新監督、東京五輪で頂点を。
text by
吉井妙子Taeko Yoshii
photograph byNaoya Sanuki
posted2017/05/11 08:00
'80年代から'90年代にかけて全日本の中心に君臨した中田監督。そのカリスマ性で若き選手たちを束ねる。
金メダルしか意味がないと叩き込まれた私の恩返し。
その結果、選手の力を130%に引き上げたい。海外勢は120%の時もあれば60%の時もある。でも、私たちは通常80%の力で試合をし、ここぞという時に130%の力を発揮する。そうすれば、金メダルにぐっと近づくはずです。ただ、今現在、その80%のレベルがあまりにも低いので、これから合宿を重ねながら130%に近づく練習をしていきます。
常識の延長線上に勝利はありません。科学を始めあらゆる叡智から選手の身体を鍛え、技を磨き、心を整え、予測能力を萌芽させます。
東京五輪というこれ以上ない舞台に立てる選手、スタッフ、監督というのは何かの巡り合せ。選手の能力を最大限に引き出し、世界の頂に押し上げたい。それが、金メダルしか意味がないと叩き込まれた時代の生き残りである私の、バレー界への最後の恩返しだと思っています。
(Number特別増刊号『中田久美「バレー人生を賭けて挑む」』より)