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フィギュアシーズン終了……のはず!?
羽生と宇野が、早くも来季の準備を。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto
posted2017/04/30 08:00
4回転を跳ぶことはすでに当たり前の時代。5度のジャンプを入れ、さらにその先へ向かおうとしている羽生。
4回転フリップを2度に増やしてきた宇野。
先を見据えていたのは羽生だけではない。
宇野昌磨は、フリーで後半にも難易度の高い4回転フリップを入れ、4回転ジャンプを4度、うちフリップを2度に増やして挑んだ。
結局、完璧に成功させることはできなかったが、試合後にこう口にした。
「まだまだやる回数が少なかったので、何が悪かったか分からないくらいの失敗でした。これから頑張っていきたいなと思います」
反省は述べたが、「来シーズンも攻め続けたいと思っています」という言葉を、来シーズンを待たず実践して見せた――その決意表明とも言える「フリップ2本」だったと言える。
「ミスを挽回しようと」「とにかく挑戦することを」
女子では、三原舞依、樋口新葉が、今シーズンでベストと言える演技を披露。
三原は言った。
「世界選手権での(ショートプログラムの)ミスを挽回しようと強い気持ちで行きました」
一方の樋口。
「ジャンプでミスしないようにと思い過ぎて、これまでは失敗していたので、そう思い過ぎなかったのがよかったと思います。この大会はとにかく挑戦することを目指していました」
海外の選手や関係者も含め、国別対抗はどこか楽しい雰囲気が漂う大会だ。世界選手権などとは異なる空気がある。冒頭で記したように、世界選手権のすぐあとでもあり、その空気に流されかねない。
三原、樋口も含めて、日本人選手たちには弛緩した様子が一切なかった。
大会期間中、さっそく新しい衣装の準備などを進めている選手もいた。シーズンが終わったという感慨に浸ることもなく、休息を欲することもなく、さらにその先へ進もうとするのは、やはり、来シーズンへの大いなる期待があればこそだ。