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ミランの帝王ベルルスコーニが去る。
偏狭で、強権で、魅力的な男だった。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2017/04/18 11:30
元首相、メディア王、数々のスキャンダル、そしてミランの帝王。ベルルスコーニの評価は分かれるが、その存在の巨大さだけは誰も否定できない。
サッカー史上最も多くタイトルを取ったオーナー会長。
シンパもアンチも大勢作った。けれど、茶目っ気たっぷり、という言葉がよく似合う中肉中背のイタリア親爺シルビオは、あらゆるサッカーの国の男子が夢見る目標をすべて叶えた、幸福な男だった。
80歳のベルルスコーニが今後、サッカー界で語られる機会はぐっと少なくなるだろう。
今でこそ、ロシアの石油王アブラモビッチ(チェルシー)やUAE副首相マンスール(マンチェスター・C)、アルケライフィ(パリSG)といった大富豪や王族オーナーは珍しくなくなった。
彼らの所有資産はミラノの中産階級から成り上がったベルルスコーニより多いはずだ。だけど、彼らがこの先、ミラノが生んだ“怪物”と同じだけの長い時間と熱意を自らのクラブに捧げることはあるだろうか。
「サッカー史上最も多くのタイトルを勝ち取ったオーナー会長」という称号だけは、半永久にベルルスコーニのものだろうと思う。