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<トップアスリートの言動に学ぶ>
勇気の心理学の実践法。~本田圭佑の「目的論」「共同体感覚」~ 

text by

木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

PROFILE

photograph byKenzaburo Matsuoka

posted2017/04/17 06:00

<トップアスリートの言動に学ぶ>勇気の心理学の実践法。~本田圭佑の「目的論」「共同体感覚」~<Number Web> photograph by Kenzaburo Matsuoka
一流のアスリートは、「勇気の心理学」と言うべきものを身につけている。もちろん彼らは強靭な肉体や、天才的なテクニックや、圧倒的なパワーを備えている。だが、真に彼らを一流たらしめているのは彼らの勇気だ。原因を他者のせいにしない勇気、自分の課題だけに集中する勇気、ライバルでなく自分自身と戦う勇気。それは一部の天才の専有物ではない。天賦の才能を持たずとも誰もが学べるのが勇気なのだ。ここでは3人のトップアスリートの生きる姿勢を通して、勇気が実践される様を見てみたい。 Number925号より本田圭佑選手の記事を公開します。

 本田圭佑が確固たる己の考えと勇気を持ち、自己を主張できるアスリートだということは周知の事実だ。しかし苦境にあるように思える今、彼の言動を子細に見ると、唯我独尊的なパブリックイメージとも少し異なる、実にアドラー的な要素があることに驚かされる。起用されない原因を他者に求めず、あくまで自分がどう努力すべきかという目的論に沿った思考。そして、自己の状況を受け入れたうえで、仲間にどう貢献するかという共同体感覚。我々がこの不屈の男に学ぶベきことは、いまだ多い。

   ◇

 サッカーは非情なスポーツだ。交代枠は3つのみで、90分の中で最大14人しか出場できない。それゆえにベンチの選手は「新しく来た監督のせいで出られない」と考えがちだ。

 だが、本田圭佑はそういう「原因論」の思考とは無縁である。今季、ACミランの監督に就任したモンテッラは、右FWにスペイン人のスソを重用し、本田はその2番手に甘んじている。その影響で日本代表の先発の座も失ってしまった。

 それでも本田は監督のせいにはしない。逆に「夏に不満分子を移籍させ、世代交代を進めた」とモンテッラを評価し、「自分がスソとの争いに負けているだけ」と捉えている。彼は4月にスタートさせた個人メルマガのバックナンバーでこう語っている。

「これまでの経験から『監督に対してネガティブな印象を持っても、自分が成長するわけではない』とわかっているんでね。監督や試合内容にいらついても意味がないので、冷静に試合や采配を分析したい」

この記事は雑誌『Number』の掲載記事です。
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本田圭佑

海外サッカーの前後のコラム

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