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伊藤華英から瀬戸大也へのエール。
誰よりも早く東京に向かって進め!
posted2017/04/14 11:00
text by
伊藤華英Hanae Ito
photograph by
Kyodo News
リオデジャネイロオリンピックは、瀬戸大也選手にとって初めてのオリンピックだった。銅メダルを獲得した400m個人メドレーは、灼熱のレースだった。念願のオリンピック出場と、メダル獲得。
400m個人メドレーでは、萩野公介選手が金メダル。同種目での日本人のダブル表彰台は60年ぶりと、歴史に名を刻んだ。日本チームとしては文句無しの結果だった。
「悔しいオリンピックになってしまいました」
五輪後、瀬戸選手のインタビューで聞いたこの言葉が頭から離れない。
彼は、メディアの対応も明るく素直な印象を与える選手で、自然に周りの人に「応援したい」と思わせてくれる。それだけに、この言葉が与える印象は強烈だった。
小学校時代からライバルだった萩野公介の存在。
何故、悔しいオリンピックになったのか。
同い年の萩野選手は、ジュニア時代から抜きん出た選手だった。学童新記録、つまり小学生記録を次々とたたき出す無視できない存在だっただろう。
競泳の場合、トップ選手はかなり早い段階で頭角を現すことが多い。大体、日本選手権などに出場する選手は互いに顔見知りだ。しかし、高いレベルでのライバル関係をここまで維持し、切磋琢磨しあう選手は少ない。同じ年で同じ種目。神様が、彼らに歴史に残る結果を作ってくれと言っているようにしか思えない。
当の2人は、「負けたくない」、「ライバルがいるから頑張れる」と言い合い、いいフレンドシップ、ライバル関係を築いているように思う。
競泳選手にとって、キャリアのターニングポイントはやはりオリンピックだ。2012年ロンドンの時は、瀬戸選手は選考会3位で代表を逃している。
当時は私もまだ現役だったが、瀬戸選手にどうにか諦めず、モチベーションを保って欲しいと願っていたのを覚えている。