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伊藤華英から瀬戸大也へのエール。
誰よりも早く東京に向かって進め!
text by
伊藤華英Hanae Ito
photograph byKyodo News
posted2017/04/14 11:00
年明けのコナミオープンでも400m個人メドレーで優勝している瀬戸大也。負けっぱなしでは、いられない。
世界選手権では勝っていたのに……。
そしてロンドンオリンピックでは、萩野公介選手が400m個人メドレーで銅メダル。瀬戸選手は、テレビの前で歯噛みする思いだったはずだ。
翌年、瀬戸選手の泳ぎは見違えるほどよくなっていた。レース展開などが変化し、何より目つきが変わった。
2013年、2015年の世界選手権では、400m個人メドレーで優勝している。
2015年の世界選手権はオリンピックの出場権がかかった大会でもあり、いち早くリオデジャネイロの代表権を獲得していた。
萩野選手は肘のケガで世界選手権を欠場という決断をしていたので、今度は反対に瀬戸選手に刺激をもらっていたに違いない。
「オリンピックに間に合うだろうか」
お互いの時間がすれ違っていたが、リオではその時間が重なる。直接対決だった。
前回のメダリストと、オリンピック初出場。立場は関係ないと言いたいところだが、気持ちが高ぶるオリンピックでは、ほんの小さなことが気になったりするものだ。
結果、金メダルと銅メダル。
五輪の借りは、五輪で返す。
オリンピックの借りはオリンピックでしか返せない。
2016年リオデジャネイロが終わってから、萩野選手は肘の手術を決断し、瀬戸選手は短水路で行われるワールドカップアジアシリーズ、シンガポール、東京、香港と連戦し、全て優勝した。さらには、12月の世界短水路で3連覇を成し遂げた。
走り続ける瀬戸選手。
東京への一歩は、誰よりも早く彼の中では始まっている。
プールサイドに、満面の笑顔で上がってくる日もそう遠くはない。自分らしく、自分のために泳いで欲しい。