ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
松山英樹マスターズ制覇への関門。
“アーメンコーナー後”を乗り切れ。
posted2017/04/04 21:00
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph by
AFLO
6度目となる松山英樹のマスターズへの挑戦。その迎え方は、確かに望んでいたものとは違ったかもしれない。
2月の米ツアー、ウェイストマネジメント・フェニックスオープンで2連覇を飾り、意気揚々と乗り込むはずだったオーガスタ。しかし、その後出場した4試合ではWGCメキシコ選手権の25位が最高位だった。
直近の試合となった2週前のWGCデルマッチプレーでは、4人1組の総当たり戦となる予選グループリーグで、1分2敗。特にショットが左右前後に散り、「感触ゼロ」と自らの出来を切り捨てた。
好材料を探すのであれば、マスターズまでに「あと1週間あってよかった」こと。松山は本拠のフロリダに一度戻って練習を重ね、ジョージアへやってきた。胸中は依然として、期待よりも不安の方が大きいかもしれない。トッププレーヤーは年4回のメジャーに合わせた“ピーキング”の重要性を問われる。既に米ツアーで4勝、世界ランキング4位の松山も既に当然、その段階にいる。
タイトル奪還を期すスピースが醸し出す余裕。
見る側であれば、ふと周りを窺うと気休めになるかもしれない。マスターズ前週のシェル・ヒューストンオープンでは、世界ランキング5位のヘンリック・ステンソンも、同7位(当時)のアダム・スコットも予選落ちした。
そして昨年、最終日に単独首位から陥落してマスターズ連覇を逃したジョーダン・スピースもタイトル奪還を期すが、ヒューストンで決勝ラウンドに進めなかった。それでも週末にはすぐオーガスタに移動。開幕を4日後に控えた2日午前10時過ぎにはメルセデスベンツのSUV車をマグノリアレーンに滑らせ、コースに来場した。
だが、グリーンジャケットに袖を通してサインに応じるスピースから、悲壮感は微塵も感じさせない。事前大会での調整が必ずしも直結するわけではないと思わせられる異空間。見る者をそういった気にさせるのがまた、オーガスタの魔力かもしれない。