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秀岳館の監督は大阪桐蔭に屈さず。
「褒めちぎらないとだめですか?」
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byKyodo News
posted2017/03/30 18:30
昨年の春、夏に続いてベスト4入りした秀岳館。鍛冶舎巧が持ち込んだPDCAサイクルを練習に取り入れているという。
大阪桐蔭について「褒めちぎらないといけませんか?」。
準々決勝では、「機動破壊」を掲げ、近年、急速に力をつけてきている健大高崎に快勝したとあって、準々決勝後は、怪気炎がとまらなかった。
「機動破壊って言ったってね、ホームベースまで破壊できるわけはないんだから。ホームスチールをやられたら、どうしようかと思ってましたけど」
絶不調の4番・廣部就平には、こんなアドバイスを送ったという。
「4番のチームバッティングはホームランだぞ、と言いました」
「三度目」の準決勝、大阪桐蔭戦は、目の前の一戦だけにすべてをかけた。
「ジスゲームに集中していました」
しかし、結果は1-2で惜敗。二度あることは三度あった。
「大阪桐蔭は近年、力が突出していると思うが」と振ると、こう返された。
「そうですか? 褒めちぎらないといけませんか? いいチームですけど、感心してたら勝てないじゃないですか」
顔は笑っていたが、目は笑っていなかった。
去就問題には「辞めると思ってんじゃないの?」。
大会前、一部メディアで鍛治舎の去就問題が報道された。そのことについて触れられると、笑顔をやや強張らせて言った。
「辞めると思ってんじゃないの? こんなにいい試合をやった後なんだから、やめてくださいよ。ノーコメント!」
去り際、鍛治舎はこうきっぱりと言った。
「夏は絶対、決勝戦まで行きます。4度目は必ず。深紅の大優勝旗を熊本に、初めて持ち帰りたいと思います!」
去ったあとも、そこにはまだ鍛治舎の熱が残っているようだった。