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公道レースの最高峰、WRCが世界で
最もタフで過酷なレースと言われる理由。

posted2017/03/30 11:00

 
公道レースの最高峰、WRCが世界で最もタフで過酷なレースと言われる理由。<Number Web> photograph by TOYOTA

18年ぶりの復帰にもかかわらず、序盤戦から高いポテンシャルを発揮するヤリスWRC。

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古賀敬介

古賀敬介Keisuke Koga

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TOYOTA

<1>さまざまな路面に挑む

 WRC(世界ラリー選手権)は、世界13カ国のラリーによって構成される。その主戦場はヨーロッパであるが、世界選手権の名にふさわしく、中南米、オセアニアでもラリーは開催される。

 SS(スペシャルステージ)と呼ばれるラリーのコースは、各イベントによって特性が大きく違う。ラリーというと、一般的にはもうもうと土煙をあげて未舗装路(グラベル)を走行するシーンが連想されるが、それは一部でしかない。舗装路(ターマック)や、雪道(スノー)で行われるイベントもWRCのカレンダーに含まれる。例えばスウェーデンはスノー、フランスとドイツはターマックのラリーである。それ以外にもグラベルとターマックの両方の路面を走行するスペインや、基本的にはターマックながら降雪路面も含まれるモンテカルロなど、WRCのコースは多種多様だ。

 2月のスウェーデンは気温がマイナス20度前後に下がる一方、3月のメキシコは30度近くまで上昇し、標高2700mと、富士山の七合目に匹敵する高地のSSも走行する。世界中のさまざまな条件の路面を、市販車ベースのマシンで駆け抜け、もっとも速いドライバーとクルマを決める、それがWRCなのだ。

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