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センバツ直前、注目校&選手紹介。
V候補筆頭は清宮・早実ではない?
posted2017/03/18 11:30
text by
小関順二Junji Koseki
photograph by
Kyodo News
いよいよ開幕する春のセンバツ。大会の主催者、毎日新聞にならって8校を1ブロックにして4つのゾーンに分け、展開を考えてみた。
Aゾーンでは初日の2試合目に、履正社vs.日大三という今大会屈指のカードが組まれた。日大三は昨秋の東京大会決勝、早稲田実戦で5打数4安打5打点を挙げた金成麗生(3年・一塁手)を中心とした強打のチームだ。準決勝の日野戦でもスタメン出場した金成は2打数2安打4打点を記録。つまり、この2試合で7打数6安打9打点の大暴れだった。
対する履正社は清宮幸太郎(3年・早稲田実)とともに今年の高校球界を代表するスラッガー、安田尚憲(3年)が秋の明治神宮大会決勝・早稲田実戦で1本塁打を含む4打数2安打4打点を記録し、チームを優勝に導いた。安田のあとを打つ4番・若林将平(3年)も評判の強打者で、近畿大会準決勝の滋賀学園戦では3ランを含む5打数2安打3打点、決勝の神戸国際大付戦は4打数2安打3打点。若林がいるから、相手バッテリーは安田と勝負せざるを得ない。まさに2人はポイントゲッターの名にふさわしい。
投手陣を比較すると、日大三は清宮を5連続三振に仕留めた左腕・桜井周斗と右腕・岡部仁(ともに3年)を擁する。
一方で履正社は早稲田実戦にリリーフして6回1/3を6安打無失点に抑えた竹田祐(3年)が柱になる。竹田は最速145kmに達する本格派で、ドラフト候補にも挙げられている。竹田以外にも近畿大会決勝で2失点完投した田中雷大(3年)も控え、総合力では日大三を上回る。
履正社vs.日大三と同日、智弁学園vs.熊本工にも注目。
履正社vs.日大三に続き、初日第3試合で対戦する智弁学園vs.熊本工も屈指の好カードだ。昨年の選抜を制した智弁学園には、1982年のPL学園以来、35年ぶりの連覇の夢がかかる。村上頌樹という盤石のエースがいた昨年がディフェンス主体なら、今年は3番・太田英毅、福元悠真(ともに3年)を中心とした打のチームである。
対する熊本工は最速149kmを計測する右の本格派、山口翔(3年)がチームの命運を左右する。昨秋の九州大会準々決勝、佐賀商戦は3対2の接戦を完投で飾ったが、与えた四死球は10個。それが準決勝・東海大福岡戦では試合こそ敗れたものの、与四死球ゼロ、被安打6、奪三振8と一転して好内容だった。調子の波が一定しなかった山口がひと冬を越えてどのように変貌したか注目が集まる。