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“打高投低”センバツの2年生3人。
大阪桐蔭、履正社の隠れた超高校級。 

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安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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photograph byKyodo News

posted2017/03/14 11:00

“打高投低”センバツの2年生3人。大阪桐蔭、履正社の隠れた超高校級。<Number Web> photograph by Kyodo News

参加校数が少ないセンバツは、夏以上に早い段階から大物同士の対戦が起こりやすい。1試合で去る学校も多いので、見逃せない。

プレートを外した投手が投げられない盗塁。

 藤原恭大(181cm78kg・左投左打)、おそらく根尾がライトで藤原がセンター。この右中間は、そう簡単には抜けない。

 50m5秒8という数字が手元にあるが、とにかく足が速い。打球を追う初速、次塁を狙ってスタートをきる初速。最初の2歩、3歩のスピーディーさが彼の野球を支配する。

 根尾が洗練された品のよさが伝わってくるようなプレースタイルならば、藤原は動くものに対する鋭い感性と動物的なスピードで躍動する野生的なスタイルの野球を展開する。

 こんな場面があった。

 遊撃手正面のゴロを快足飛ばして内野安打にして出塁した藤原が、息の整った2球目にフライング気味にスタートをきる。

 すぐに気づいてプレートから軸足を外した投手、とっさに二塁ベースに送球するかと思ったら、そのまま固まって、何もできない。藤原の走りのスピードに思わず見とれてしまった……。私には、そういうふうにしか見えなかった。

 昨秋は、故障もあって近畿大会にはフル出場できず、もう1つの持ち味の強打も披露できずに終わっている。

 見せてやる……秘めた思いは強烈なはずだ。

 溜まり溜まったものに期待している。

履正社の“第3の超高校級”。

 履正社といえば、安田尚憲(三塁手・3年・188cm95kg・右投左打)に若林将平(外野手・3年・182cm90kg・右投右打)。左右の超高校級大砲2門が象徴的存在であろう。

 しかし私には、もう1人の“超高校級”が見えている。

 二塁手・松原任耶(185cm87㎏・右投右打)、大阪桐蔭・根尾昂、藤原恭大と同じ新2年生である。

 2人の先輩スラッガーのいい所を、ちゃんと身につけている。

 長い両腕をしならせたインサイドアウトのスイングでボールを捉え、全身の連動と軸回転でセンターから右中間を指向したバッティング。これだけのサイズがあれば、“エイ! ヤー!”のめちゃ振りをフルスイングと勘違いして、知らず知らずのうちに粗っぽいオーバースイングに。高校生はそんな“落とし穴”に陥りがちなものだが、この2年生の超大型セカンドには、そういう幼さがない。

 やはり、自分より優れたものに囲まれた環境で腕を磨かなければ、先の成長はない。

【次ページ】 “メジャーの卵”たる超大型二塁手。

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