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ベンゲルより、アーセナルが限界?
退任したら高確率でマンUの二の舞か。
text by
田邊雅之Masayuki Tanabe
photograph byAFLO
posted2017/03/13 07:00
「どんなよいことにも、終わりがある ベンゲルよさらば」と書かれたプラカード。カリスマへの愛憎が溢れている。
もしベンゲルが勇退後のお膳立てに成功したら……。
そして新シーズンが幕を開ければ、いやおうなく結果が出る。
簡単にいえば、成績は上がるか下がるか、現状維持か、しかない。
サポーターが夢見るのは、アーセナルが新監督のもとでしっかり機能するシナリオだが、このようなケースの場合、成績が下がるケースが圧倒的に多いことを歴史は教えている。ましてや20年以上もクラブを率いていた人間がいなくなった場合、現状維持すら難しいケースがほとんどだ。
イングランドで言えば、1974年にビル・シャンクリーの後を継いだリバプールのボブ・ペイズリーぐらいしか、例外は思い浮かばなかった。
とはいえ、冒頭に述べたように、サッカーでは何が起きるかわからない。ここまで論じてきた内容がすべて杞憂に終わり、来シーズンにはエミレーツ・スタジアムで豪華な祝勝パーティーが開かれている可能性ももちろんある。
監督を勇退した後に、さらにアーセナルの成績が上向くようなお膳立てができれば、ベンゲルはまさに名将中の名将、無敗優勝並みの歴史的な偉業を、再び達成することになる。
カリスマ的なリーダーが抜けた後、いかに組織のカルチャーや業績を維持していくかは、最近流行のビジネスマネージメント論でも最大のテーマだ。
はたしてベンゲル監督はどのような決断を下すのか。そしてアーセナルというクラブを、いかなる未来に導こうとしているのか。
ベンゲルとアーセナルの「それから」は、CLのバイエルン戦などよりもはるかに興味をそそる。サッカー界全体の未来を占う、一番の見どころになるかもしれない。