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カズは日本サッカーの何を変えた?
盟友が語るヴェルディ黄金時代。
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byNaoya Sanuki
posted2017/02/28 14:30
Jリーグ初年度の時も、50歳の今も、FW登録で背番号は11のままのカズ。
カズ「キャラクターを作るのも大事だよ」
そのヴェルディ黄金時代=Jリーグの黎明期を支えた1人である北澤が記憶しているのは、カズを中心に選手たちが見せた泥臭い、プロとしての責任感だったという。
「当時はグラウンドで言い合いをすることもよくありました。カズさんなんかはプレーに関してグラウンドで揉めた時は、もちろん自分もいろんなことを言うんだけど『キー(北澤の愛称)はどう思う?』って意見を求めてくるんです。なぜなら、考えていないということはピッチでプレーを表現できないと考えるから。ラモスさんも『喋れないんだったらここに居るな』って言っていたし、常に考えることを求められていました。
カズさんもラモスさんも、ブラジルでプレーしていて、プロ選手の生き様を見てその言動や、責任感を学んできていたんだと思います。
実は自分が髪の毛を伸ばしていたのも、カズさんが『そういうのいいよね。自分で主張して、キャラクターを作るのも大事だよ』と言ってくれたのもあったんです。カズさんと一緒にサッカーをやることで、いろんな部分で『プロとは何か』を考えさせられました」
カズの登場で、選手の意識がどんどん変わっていった。
カズよりも6歳年上の都並敏史も、カズの物怖じしない態度、誰であっても臆せず自分を主張していくコミュニケーション術から学ぶことが本当に多かったという。
「やっぱり仕事だから、自分で責任もって発言するというのはとても重要なんです。特にカズは、必要ならば監督にも進言していくし、時には戦うこともあった。先生と生徒にはならない。常に対等なんです。
日本代表でも、調子が悪くなって紅白戦でスタメンから外されると、『監督のところに文句を言いに行く! 俺にはスタメンの権利があるはずだから』って。『サブなら国立はいかない』とか言うんです。
僕らがアマチュアの時代は、選手が監督に要求するなんてありえないことでしたから、カルチャーショックでしたよ。『え、そんなこと言っちゃうんだ』って。でもそういう選手がいると、他の選手の意識もどんどんと変わっていくわけですよ」