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稲本潤一「札幌をJ2には落とさない」
過去2回は最下位降格、3度目の正直。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/02/15 11:30
稲本潤一のピッチ上での存在感は衰えていない。ベテランになっても全く変わらない笑顔も印象的だ。
都倉頼みの攻撃はJ1でも通じるか。
札幌の昨年の得点数は65。清水エスパルスの85得点に次いで2位だった。チームの得点王は19得点の都倉賢だ。都倉に合わせる形や速攻でJ2では点が取れていたが、J1は日本代表クラスのDF陣や寄せが速く質の高い中盤の選手が相手になる。
「J1の球際やプレッシャーが強いチームとやると、パスが途中で引っかかる可能性があるし、奪われてカウンターを食らうこともあるやろね。それでも何回かペナルティエリアの前までは運べると思う。問題はそこから。都倉がいるんで、そこに当てる質を高めていくことはもちろんやけど、それだけだと厳しい。セットプレーとかカウンターとか、昨年よりも精度を高めて少ないチャンスを決めないと点は取れない」
練習を見ていると基本的にみな都倉を最初に見ているが、ボールを取る位置が低いので孤立してしまいがちだ。ボールが出ても、都倉は特別足が速いわけではないのでマイボールにするのがなかなか難しい。さらにイーブンのボールに競り勝ったとしても、フォローに時間がかかるので相手に奪われてしまうことが多い。
稲本「60億円? それは無理やわ(笑)」
であれば、スピードがあり1人でゴールを狙える外国人FWが必要だと思うのだが、チームの台所事情があるのだろう。札幌の戦術にフィットしたFWが足りていない。
「練習試合で見たけど、江蘇蘇寧にいたアレックス・ティシェイラはちょー速かった。ああいう選手がおったらラクやなぁって思うし、札幌のサッカーにフィットすると思うけど移籍金とかすごいんでしょ。60億円? それは無理やわ(笑)。まぁ戦力は厳しいけど、それでも勝っていかなあかん。札幌を1年でJ2に落とすわけにはいかないんでね」
2008年札幌がJ2に降格した時の勝ち点は18、2012年の時は勝ち点14でともにダントツの最下位だった。今年、15位以内に残るためにはシーズンによって異なるが勝ち点は最低30以上が必要になる。生き残るための秘策はあるのだろうか。