辻直人のB.LEAGUER DIARYBACK NUMBER
届かなかったバスケ日本一の称号。
辻直人が語る高校王者、そして決勝。
text by
辻直人Naoto Tsuji
photograph byKiichi Matsumoto
posted2017/01/29 07:00
B1リーグの中地区で首位を独走する川崎は、辻が欠場する間もその座を守っている。千葉への借りはチャンピオンシップで返す。
決勝のジェッツ戦、大事な試合なのに。
アルバルク東京はスタメン5人を、オールスターと言っても過言ではないメンバーで揃えてきた(今年、オールスターに選ばれてない自分にとっては、悔しいからオールスターってフレーズあんまり聞きたくないけど笑)。
肝心のゲームは一進一退の攻防が続く。非常に見応えのある試合だったと思う。ただ、実際にプレーしている側としては、かなりの疲労感ではあった。
我慢の続くゲーム内容。最後の勝負所でリバウンドを堅実に取ることができ、自分たちの強みのオフェンスができたのが結果に繋がった試合になった。
そして、決勝の相手は強豪チームを倒してきた勢いのある千葉ジェッツ。ここまで勝ち上がってきた勢いは、実際に対戦しながらひしひしと感じた。
一方、川崎は攻守で足が止まってしまい、千葉の速い展開にもディフェンスに戻ることができていなかった。終始圧倒されてしまい、日ごろから応援していただいているファンにはストレスが溜まるような内容の試合になってしまったことが非常に残念だ。
個人的には、悔しいという気持ちよりも、情けない気持ちが強かった。これまでのキャリアの中で、大事な試合では自分のパフォーマンスを出しきれていたにも関わらず、前回のオールジャパン準決勝もそうだが、今回の決勝でも何もすることができなかった。
「よりによって、なんでこのタイミングで……」
実は第1ピリオドの序盤、ずっと抱えていた腰痛が再発してしまったのだった。
「よりによって、なんでこのタイミングで……」
どうしようもない思いがこみあげてくる。
なんとかプレーは続行したが、その痛みは治まることはなく、あっという間に試合が終わってしまった。結果は66-88で敗戦。目の前で優勝を決められるのは、そして優勝を許してしまったのは、何とも言い難い気持ちだった。
ファンの皆さんに本当に申し訳ない気持ちも強かったが、さらにチームメイトに対しての申し訳ない気持ちもかなり強かった。昨年に続き、今年も不甲斐ない自分が出場してチームを優勝に導けなかった。そんな自分が情けなくて仕方なかった。