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小林誠司には元木大介の匂いがする!?
なぜ阿部は彼に坊主頭を命じたのか。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2017/01/13 11:30
監督2期目、大型補強という条件で、高橋監督には優勝への期待がより強くかかっている。土下座をしてまで阿部にキャンプでの指導を仰いだという小林。
図らずしもキーマンになってしまう……小林誠司。
30億円補強が話題となった今季の巨人。
おそらく今の理想からすれば、この選手にとって代わるレギュラーが出てくることが理想かもしれないが、そうはいかずにキーマンとなってしまう元木のような選手がいる。
それが捕手の小林誠司である。
プロ4年目。
昨年は阿部慎之助の故障離脱もあり開幕からスタメン出場すると、その後も高橋由伸監督の方針でレギュラー捕手として起用され続けた。
6月に肩の骨折で戦線離脱するアクシデントはあったが、それでも129試合に出場して12球団の捕手でただ1人、規定打席に到達。盗塁阻止率3割5分6厘はリーグトップで、捕手として成長の跡を残したシーズンとなった。
ところが周囲の評価は、なぜか物足りなさに溢れている。
侍ジャパンの強化試合で露呈した、小林の弱点。
結果的にはベストナインの捕手部門は優勝した広島の石原慶幸に奪われ、何より捕手として改めて不評を買ってしまったのが、オフの侍ジャパンの強化試合でのプレーだった。
オランダとの試合で、バッテリーを組んだソフトバンクの千賀滉大が慣れないメジャー球に悪戦苦闘。武器のおばけフォークでワンバウンドを連発したが、そのボールを3度も逸らして暴投にしてしまった。
このキャッチングに、テレビ中継で解説していた元ヤクルトの古田敦也さんが呆れを超えて、ちょっと怒気をも含んだコメントを発していたほどだった。
「気配りができない」「キャッチングが雑」――実は巨人でも入団以来、ことあるごとに首脳陣からこう指摘されてきた。ただ昨年1年間、レギュラーとして出場することで、本人もそれなりの自覚を持ってプレーを続けてきた。投手陣ともコミュニケーションをとり、リード面での成長を認める声も聞こえてきた。
その矢先だっただけに、残念といえば残念な結果だったのである。