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東洋大は、今年も優勝を狙っていた。
「青学時代」に抗う名門のプライド。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byTakuya Sugiyama
posted2017/01/11 07:00
青学を追うというよりは、早稲田に意識を割く戦いだった東洋大。それでも最後は2位になるのが彼らの強さを証明していた。
学生たちが優勝を諦めかねない「青学時代」。
しかし、全日本でも思ったような結果が残せず、不安もあったという。
「実は、全日本の後には箱根でのシード権も危ういと考えていたんです。ただ、そうした危機感があったからこそ、箱根に向けて切り替えることができたと思います。練習も過去2年よりはハードなものでした」
丹精を込めてチームを作った。その結果が2位だったのだ。青学大との差は大きい。
服部をはじめとした主軸の4年生は抜ける。しかし、今回の箱根で下級生の成長が見られたのもまた事実だ。
「1年生は箱根で使うまでには至りませんでしたが、2区を走った山本、9区の区間賞を取った野村と、2、3年生はいい経験ができたと思います」
「青学時代」が到来した今、他の大学は「スタンダードの低下」という危機を迎えている。3位以内、シード権獲得で学生がホッとしてしまいかねない。
酒井監督は、そうした学生の意識を鼓舞し続けなければならない。
「2位で満足していては上を目指せないんです。幸い、学生たちも悔しそうな顔を浮かべていたので、来季につながるものになったとは思います」
酒井監督は「疲れました」、とは言いつつも、1月4日から新チームは始動している。
スタンダードを保つ戦いが再びスタートした。地盤はしっかりしている。
あとは、青学大との区間直接対決で一歩も譲らない猛者が現れることを願うばかりだ。そう、あの柏原竜二のような、闘志あふれる走りをする選手が――。