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ホンダが勝ち得た信頼と高性能。
2017年はF1ファンの信頼回復に挑む。
posted2017/01/09 11:00
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Getty Images
マクラーレンとパートナーを組んで2年目となった2016年。ホンダは前年を大きく上回るパフォーマンスを披露した。前年9位に低迷したチームの、コンストラクターズ選手権でのポジションを6位まで回復させることに、大きく貢献したのだ。
この結果をもたらした最大の要因が、ホンダの四輪モータースポーツの技術開発を行う研究所、HRD Sakuraのスタッフが手がけるパワーユニットの大きな進化だったことは言うまでもない。復帰初年度の'15年はドライバー2人そろって、各々年間12基ものエンジンを投入して多くのペナルティを科せられたが、'16年はフェルナンド・アロンソが8基、ジェンソン・バトンにいたっては前年の半分の6基で1シーズンをまかなうことができた。
アロンソは言う。
「確かに'15年のホンダのパフォーマンスにはフラストレーションを募らせることも少なくなかった。でも、それは技術が不足していたからではなく、時間が足りなかったからで、'16年に彼らが挽回してくれることはわかっていた」
「日本人が勤勉であることを知っている」(バトン)
信頼性が向上しただけではない。'15年は設計上の問題から、排熱を利用して発生させる回生エネルギーが十分ではなく、ストレート走行中にエネルギーが切れて失速するケースが少なくなかった。それが'16年は、ライバルと同等まで回生効率を上げてきた。
2003年からホンダを走らせてきたバトンも「僕は日本人が勤勉であることを知っているし、実際ホンダの人々はマシンを速くするためなら、時間を惜しまずに仕事をする人たちなので、心配はしていなかった」と、信頼を寄せて'16年を戦っていた。
ホンダへの信頼は、ドライバーたちからだけではない。パートナーを組むマクラーレンからの信頼回復も果たすことができたのだ。だが、それは最初から確立されていたわけではない。ホンダが結果を見せることで、少しずつ回復させていったものである。