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絶対に見逃してはいけない世界戦。
内山、井上……名ボクサー勢揃い!
posted2016/12/30 07:00
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph by
AFLO
今年も世界戦ラッシュが迫ってきた。
世界戦は当初の発表から2つ減って7試合となったとはいえ、それでも多い。「もっと分散しろ!」という声も大いに理解できるが、そうはいっても祭りは楽しまなければ損だ。本稿では2つに絞って見どころを紹介したい。
まずはこの人に触れなければ始まらないだろう。前WBA世界スーパーフェザー級チャンピオンの内山高志(ワタナベ)だ。
4月に行われた12度目の防衛戦で、伏兵のジェスレル・コラレス(パナマ)にまさかの2回KO負け。挑戦者をバンバンなぎ倒していた内山が力なくキャンバスに崩れ落ちた姿は衝撃的で、業界で“内山ショック”という言葉が生まれたほどだ。その内山がコラレスとのダイレクトリマッチに臨むのだから興味がわかないわけがない。
内山「けっこうナイーブなんですよ」の衝撃。
試合前の記者会見では、内山のいままでとは趣の異なる姿が明らかになり、とても興味深かった。
「前回の試合の映像は20~30回見た」
内山は対戦相手の映像をあまり見ないことで知られている。相手よりはまず自分。言い換えれば、本来の力を出しさえすれば、相手がだれであろうと問題はなかった。まさに王者の中の王者だったのだ。
その内山が「20~30回見た」と言うのだから、あらためて前回の敗戦の重さを感じさせる。内山は加えてこんなセリフも吐いた。
「(前回の映像は)すぐには見られなかった。なかなか再生ボタンを押せなかったですね。けっこうナイーブなんですよ」