ボクシング拳坤一擲BACK NUMBER
絶対に見逃してはいけない世界戦。
内山、井上……名ボクサー勢揃い!
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byAFLO
posted2016/12/30 07:00
11月に井上は八重樫とともに都内で行なわれたマニー・パッキャオのジムの開設イベントに参加。年末に向けて腕をぶしていた。
もし負ければ内山の見納め……なんて考えると。
あの絶対王者の口からまさかこんなセリフが漏れようとは。もうこれだけで試合前から落ち着きなくハラハラとしてしまうのは私だけではなかろう。
もちろん内山が弱気になっているわけでもなければ、急激に力が衰えているわけでもない。「リベンジ」という言葉を何度も使っているように、今回の試合にかける意気込みは相当なものだ。内山がおよそ7年ぶりに挑戦者という立場に立ち、いかなるパフォーマンスを見せてくれるのか。
もし負ければ内山の見納め……なんて考えると、「見逃してはいけない」で順位付けすれば、この試合が間違いなくトップだろう。
井上尚弥vs.河野公平は好対照なキャリアの戦い。
WBO世界スーパーフライ級王者の井上尚弥(大橋)に、元WBA同級王者の河野公平(ワタナベ)が挑む一戦も興味が尽きない。
幼少のころからボクシングを始め、現役高校生にしてオリンピック出場まであと一歩に迫り、プロに入っても史上最速で世界2階級制覇を達成した井上。かたや河野はアマチュア経験がなく、プロではデビュー戦で敗れた。ここまでの戦績は井上の11勝9KO無敗に対して32勝13KO9敗1分。世界王座に2度就いたとはいえ、その評価は決して高くはない。両者の足跡はあまりに対照的だ。
河野には申し訳ないが、この試合で番狂わせが起きると予想する関係者の声を聞いたことがない。
そもそも河野がこの試合のオファーを受けたことが驚きだった。大橋ジムからのオファーを河野に伝えた渡辺均会長は、河野からOKの返事をもらったあとも、数日にわたり「本当にやるのか」と繰り返した。河野本人はこんな話を明かす。