ボクシング拳坤一擲BACK NUMBER
絶対に見逃してはいけない世界戦。
内山、井上……名ボクサー勢揃い!
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byAFLO
posted2016/12/30 07:00
11月に井上は八重樫とともに都内で行なわれたマニー・パッキャオのジムの開設イベントに参加。年末に向けて腕をぶしていた。
「井上くんはまさにパウンド・フォー・パウンド」
「奥さんに言ったら、気持ちが作れるならやればいい、と言ってたんですけど。次の日になって、井上くんはやめたほうがいいんじゃないかって言われましたね」
ここまでよくがんばったじゃないか、何も最後に無理をする必要はない。周囲のそんな意見を、河野は断固拒否したのだ。
「また世界タイトルマッチをやれるなんて、こんな幸せなことはない。井上くんはまさにパウンド・フォー・パウンド。だからこそやりがいがある」
強いチャンピオンに迷わず立ち向かう河野の心意気がすがすがしい。努力やガッツという言葉がどこまでも似合う男の面目躍如といったところか。どう井上を攻略するかを日々考え、トレーニングで汗を流し、試合に向かう河野の姿は実にいきいきとしていた。
試合が長引くほど、河野への声援は大きくなるはず。
井上が恐ろしいくらいに河野を一蹴すれば、それはそれで盛り上がり、2017年のアメリカ進出、ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)との頂上対決に向けて弾みがつくだろう。一方で、試合が長引けば長引くほど、河野に送られる声援は熱を帯び、奇跡を目にする期待で試合会場のボルテージは上がるはずだ。こういう試合はありそうでなかなかないのである。